2020 Fiscal Year Research-status Report
副腎皮質ホルモン由来の生活習慣病の早期診断法の開発と疾患原理の追及
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19K05531
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
大坂 一生 富山県立大学, 工学部, 准教授 (90550244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐島 成宙 金沢大学, 国際基幹教育院, 助教 (30801584)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レーザー脱離イオン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
高血圧症の中には、ステロイドの過剰産生が原因のものがある。しかし、ステロイドを過剰産生に関係していないと考えられる非機能性副腎腺腫(NFA)を取り除くことで、その高血圧症が解消される例がある。その原因は副腎のステロイドに関係すると考えられているが、詳細は不明である。この機構を詳細に調べるために、我々が独自に開発している金属薄膜表面支援レーザー脱離イオン化質量分析法を応用する。ステロイドの高感度検出に適したSALDIのための金属薄膜を作成し、ステロイドの高感度網羅局在解析法を検討した。SALDIのための金属薄膜の金属種としては、Pt、Au、Agを用いた。それらとMALDIマトリックスのハイブリッドについても検証を行った。装置には、JMS-S3000 SpiralTOF-plus (JEOL)を用いた。 SALDIのための金属薄膜の金属種は、Ptを利用したときが最もステロイドの検出感度が高かった。SALDIのための金属薄膜の最適な厚さ3 nmであった。白金を用いてステロイドの標準試薬を分析した結果、Testosterone 、5alpha-Dihydro-11-keto Testosterone、Dehydroepiandrosterone、19-Hydroxy-4-androstene-3,17-dion、4-Pregnen-3-20-dione、18-Hydroxycorticosterone、17-Hydroxyprogesteroneなど、MALDI/MSでは誘導体化なしで直接検出が困難な化合物を分析することができた。本手法を用いて、フェレットの副腎の切片を分析した結果、Pregnenoloneや5alpha-dihydro-11-keto Testosteroneなどのステロイドを検出して、その局在を画像で示すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染症対策による活動制限の実施等により、研究は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ステロイドを高感度に検出するための金属薄膜SALDI/MSの最適条件を決定した。今後は、生体組織切片の金属薄膜SALDI/MSのための最適条件を検討する。確立した手法を質量分析イメージングI法に応用して、副腎腫瘍組織中のステロイドホルモンの網羅局在解析を行う。各種ステロイド合成酵素の免疫組織学染色と比較して、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の発症に関与するステロイドの種類や類似成分の質量情報を獲得し、その解析を行う。
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Causes of Carryover |
感染症対策のための活動制限実施のために研究が遅れた。次年度は、遅れてしまった分の研究を行うために当該年度分の余りの費用を使用する。また、当初から翌年度に実施を予定していた研究では、翌年度分の予算を使用する。
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