2021 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular recognition using nano-space in metal-organic frameworks and its structural flexibility
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19K05537
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
半田 友衣子 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (20586599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金属-有機構造体 / 配位高分子 / 結晶構造変化 / イオン交換 / リン酸エステル / ランタノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、金属ー有機構造体(MOF)の均一ナノ空間と結晶構造変化を利用する高感度・高選択的測定への展開を目指して,特異的物質認識場の創出とその反応機構の解明を目的とした。2020年度までに,ランタノイドイオン(Ln3+)―リン酸エステル配位子が形成する2種類のMOFで極めて珍しい選択性の金属イオン認識が起こることを明らかにし,新たな固体材料としてもっとも身近なリン酸エステルである核酸とLn3+で配位高分子(CP)を形成することを見出した(ここでは,結晶性のあるCPをMOFとする)。 2021年度は,bis(4-nitrophenyl)phosphate(L)が形成するリン酸エステルMOFでのLn3+結節点金属交換の反応メカニズムの解明に取り組んだ。金属イオン交換が起こることでMOFが混合金属状態となり,2種の金属の混合割合が大きい場合には結晶―結晶構造転移を起こす。金属イオン交換はMOF粒子表面でしか進行しないが,構造転移によって粒子内部が新たな反応表面となるため,構造転移する場合には金属交換反応が加速されると考察した。この反応機構が,ランタノイド金属種での反応性に大きな差を生じる原因と考えている。 また,数種類の金属イオンとヌクレオチドを混合し,金属種によって配位部位を制御したCPを合成した。核酸塩基が金属に配位するCPでは,ランタノイドイオンによるリン酸基の加水分解反応が起こることを見出した。リン酸基が金属に配位するCPでは,核酸塩基が相補塩基対を形成することによって,溶液中のオリゴヌクレオチドを吸着することを明らかにしつつある。新規CPでのこれらの反応は,新たな物質認識系の設計の一助となると期待する。
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