2019 Fiscal Year Research-status Report
生体酸化ストレスの簡便・非破壊的化学発光イメージング技術の開発
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19K05542
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
寺西 克倫 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20237001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分析 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の炎症や腫瘍は、活性酸素のバランスが産生側に過度に偏る酸化ストレスが原因の一つである。また、生体内では、喫煙、光刺激、薬物摂取などの多様な作用によって酸化ストレスの増大が生じ、疾病の原因にもなっている。本研究では、ヒト末梢全血内および実験動物の生体内酸化ストレス度の簡便・高精度・非破壊的リアルタイムモニタリング技術を開発することを目標とする。当該年度では本課題研究のステージ1である「生体の酸化ストレスを非破壊的にリアルモニタリングできる高バックグラウンド光な光化合物の作成」を検討した。目的とした化合物の化学合成は3つの分子パーツの最終的な化学結合により行う計画とした。分子パーツ1の化学合成では、窒素含有芳香族化合物を出発としたパイ電子系化合物を化学合成し、他のパーツとの結合に必要なリンカーを付加させた。分子パーツ1との結合にあずかる分子パーツ2の化学合成では、最終工程の化合物が酸化的に不安定であることが判明し、作成効率が低く、次工程に使用するには十分量を提供できなかった。現在、このため製造工程の見直しも含め作成効率向上の検討を進めている状況である。本分子パーツの安定性に関する性質は、最終工程である3つの分子パーツの結合においても影響を与えると考えられ、本分子パーツ2の最終化合物を変更し、3つの分子パーツの結合の終了後にパーツ2部分の目的化学構造への化学変換も一つの選択肢と考えている。分子パーツ3の製造は、計画通り実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題の最初のステージでは、目標とした化合物の化学合成を行い、次のステージでは、それら化合物の用途評価を行う。初年度は目的とした化合物の化学合成を実施する計画であった。化合物の分子構造は、大きく3つのパーツ(A,B,C)に分けられる。これらの分子パーツを個々に化学合成し、その後これらの分子パーツを順次化学結合させる目的の化合物を作成する計画であった。分子パーツAの化学合成は順調に計画に従い実施した。一方、分子パーツBの化学合成において酸化されやすい性質であることが判明し製造効率に問題が発生し計画の遅れを招いている。分子パーツCの化学合成においては計画に従い実施された。以上の理由により、初年度の実施は、計画よりも「やや遅れている」状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は3つのステージに分けられる。ステージ1では、目的化合物の化学合成の実施である。ステージ2では、ステージ1において作成された化合物の性能評価とそれをもとにした分子設計の修正である。ステージ3では、最終候補化合物の用途評価である。前年度では、ステージ1の化合物の作成であったが、「現在までの進捗状況」で記載したように、化合物の化学合成の一部に遅れが出た。今後の実施は、前年度に達成できなかった化合物の化学合成を達成すること、、化合物の性能評価を計画に従い実施する予定である。
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