2019 Fiscal Year Research-status Report
革新的な低容積全電解アレーセルを用いるモノアミンの高速オンライン分離分析
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19K05543
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水口 仁志 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (30333991)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トラックエッチドメンブレン / 高速液体クロマトグラフィー / 電気化学検出器 / モノアミン / 生体関連物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,トラックエッチ膜フィルター電極を用いる電気化学フローセルを,キャピラリークロマトグラフィーに対応できる内容積の小さい電気化学検出器とするための改良を行った。セルは,試料溶液の流れの方向に対して2つの作用電極を直列に配置した構造とし,それぞれの作用電極の間には,電極同士の短絡を防ぐためのスペーサーを挿入した。試料液の流れによるフィルター電極の歪みを防ぐために,電極の後段にPTFE製のラインフィルターを取り付け,参照電極はねじ込み式の銀/塩化銀電極を用いた。それぞれの多電極ポテンショスタットに接続した。セルの入り口部分は,内径0.1mmに加工して取り付けた。作製した電解セルを検出器とするキャピラリー液体クロマトグラフィーシステムを構築した。送液には,低流量で脈流のないポンプを用い,サンプルインジェクタおよびキャピラリーカラムを取り付けてクロマトグラフィーシステムとした。アスコルビン酸を用いて,提案する検出器の検出性能を確認したところ,流量0.05mL/min以下においてほぼ100%の電気分解効率で検出されることが確認された。さらに,ドーパミン,ノルアドレナリン,アドレナリンにおいても流量0.05mL/min以下においてほぼ100%の電気分解が達成されており,さらにこれらの準可逆的酸化還元挙動を示す物質は,下流側に配置した第2電極,クロマトグラフィーの分離を損なうことなく安定な還元電流が観測された。上記のカテコールアミンのクーロメトリー検出も合わせて実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り,キャピラリークロマトグラフィーに対応できる内容積の小さな電気化学検出器を,トラックエッチ膜フィルター電極を搭載したフローセルにて作成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,マイクロダイアリシスサンプリングシステムと連携したシステムの構築を行う。ここでは,モノアミンを含む生体模擬試料に対してマイクロダイアリシスサンプリングシステムから,高耐圧8方自動切替バルブを介してキャピラリーHPLCに逐次的に導入する。この場合,HPLCへの試料導入ともう一方のインジェクターループへの試料注入が同時に行われる。HPLCへの試料導入間隔は,バルブ切り替えの間隔で制御される。さらに,本提案システムを用いて,ラットから脳間質液を一定時間ごとに直接オンラインでクロマトグラフィーシステムに導入する実験を行い,モノアミンや投与薬剤の濃度の時間変化を観測することを目標として実験を行う計画である。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度における消耗品購入に係る支出が年初計画よりも少額であったことにより,次年度使用額が生じた。 (使用計画) 令和2年度は,前年度残額を含めて薬品・消耗品の購入および学会発表旅費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)