2020 Fiscal Year Research-status Report
大気中二酸化炭素濃度の観測に用いる濃度スケールの再現性についての研究
Project/Area Number |
19K05554
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
青木 伸行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60414356)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 昌平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 総括研究主幹 (30222433)
石戸谷 重之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (70374907)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 標準ガス / CO2 / 分別効果 / 大気観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気観測用二酸化炭素標準ガスは、真空引きした高圧容器に高濃度の二酸化炭素標準ガス(原料ガス)を移充填した後に、精製空気を10MPa程度まで充填して調製される。この原料ガスの移充填時に成分中の空気と二酸化炭素の分別が起こるため、原料ガスの充填質量から計算される二酸化炭素濃度は、実際の値からずれてしまう。しかも、原料ガス中の二酸化炭素濃度が、分別効果によりガスの消費とともに高くなるため、最終的に調製された大気観測用標準ガスは、原料ガス中の二酸化炭素濃度の変化と移充填時の分別の双方の影響を受ける。 今年度は、分別が起こらない大気観測用二酸化炭素標準ガスの調製法(高純度二酸化炭素と精製空気を直接混合する方法)を確立した。さらに、二酸化炭素標準ガスを真空引きした高圧容器に移充填して、その前後の二酸化炭素濃度を測定するという実験を繰り返し行い、原料ガスの移充填時に起こる空気と二酸化炭素の分別量を定量的に評価した。本研究で評価した分別量から推測される二酸化炭素濃度のずれが、実際に調製された大気観測用二酸化炭素標準ガスでも起っているかを検証するために、本研究で開発した分別が起こらない手法で調製した標準ガスと既存の方法で調製した標準ガスを比較した。両者の二酸化炭素濃度の差は、分別量から推測された二酸化炭素濃度のずれと不確かさの範囲以内で一致しており、既存の方法で大気観測用標準ガスを調製した場合、原料ガスの充填質量から計算された二酸化炭素濃度は実際の値からずれることが実証された。 一方、分別が起こるメカニズムを解明するために、二酸化炭素標準ガスを移充填した際の酸素同位体比、アルゴン同位体比、酸素と窒素の比、アルゴンと窒素、二酸化炭素と窒素の比の変化を測定した。これらの測定結果は、移充填における分別が熱分布、圧力差、質量差により生じていることを示していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調製時に二酸化炭素と空気の分別が起こらない調製法を確立した。さらにそれを用いて、従来法の検証実験を行った。当初想定していた通りの成果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
常に拡張不確かさ0.08ppmのCO2濃度スケールを再現できるように、大気観測用CO2標準ガスを異なる時期に調製して、それらの整合性を評価する。 今回開発した1段希釈法は、特殊な調製方法であるため、既存の方法でも正確に大気観測用二酸化炭素標準ガスを調製できる手法の検討を行う。
|
Research Products
(1 results)