2019 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子の転写に学ぶ共重合体高分子のブロック性評価技術の開発
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19K05555
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
青柳 将 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50356333)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子 / 共重合 / ブロック / 転写 / 分析化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAの塩基配列を鋳型として、相補的なRNAが合成されることで遺伝子が転写される現象に着目し、共重合体中の特定のモノマーのブロックを鋳型として「相補的に結合する官能基を有するモノマー」を作用、重合することで共重合体中のブロックを転写し、転写重合体について機器分析を行い、その分子量分布から鋳型となった共重合体のブロック性を解読することを目指している。 アルコールはカルボン酸とエステル結合を形成する。アルコールを官能基として含む高分子にアクリル酸をエステル結合させ、未反応のアクリル酸を除去したのちに重合させることで転写できると期待される。アルコールを官能基として含む高分子としてポリビニルアルコールがあるが、市販のポリビニルアルコールは鹸化が不十分であったり、タクティシティの乱れがあったりして、それらが正確な転写の妨げとなる可能性がある。そこで、これらの問題がない、アルコールの位置、立体が完全に制御されたモデル化合物として糖アルコールおよび高アルコールについて、NMR(1H, 13C, H-H COSY, HMQC)測定 、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF/MS)による構造情報の取得を検討した。糖アルコールの一種であるエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、ズルシトール、アドニトール、アリトールは両末端の-CH2OH)基の間に-CH(OH)-が連なっているが、不斉構造に由来するNMRのシグナルの分レンツが複雑であった。一方ブタンジオール、2,5ペンタンジオールはポリビニルアルコールと同様の-CH2-CH(OH)-ユニットが2つ連結した構造を有し、糖アルコールより単純なNMRスペクトルを示した。これらの化合物のビニルエステル化反応の文献調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル化合物の選定および、基礎的な分析を行い物性情報を取得し、転写に用いる反応の文献調査まで行ったが、、実験補助員の離職に伴い、採用、トレーニングに時間を要し、当初予定よりやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル化合物である多価アルコールとアクリル酸のエステル化および重合反応による転写オリゴマー合成、化学構造分析を行う。また、多価アルコールの鎖長延長を検討する。さらに市販ポリビニルアルコールについてもエステル化反応、重合反応を行い、転写高分子の分子量を調査する。タクティシティの選択性の異なるポリビニルアルコールでも同様の検討を粉い、ポリビニルアルコール内でのタクティシティの選択性評価への応用を検討する。これらの検討事項を踏まえて、ブロック共重合体のブロック性評価を検討する。
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Causes of Carryover |
実験補助員の離職後に後任者の雇用までに期間があったため。
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