2019 Fiscal Year Annual Research Report
温和な条件で水中硝酸イオンを選択的に窒素ガスに水素化する二元卑金属触媒の創成
Project/Area Number |
19K05562
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大澤 力 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (60213683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 硝酸イオン / 水素化 / Ni触媒 / 反応次数 / 燃焼合成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,卑金属であるNiを主金属とし,第二金属との固溶体・金属間化合物を触媒に用いた水中硝酸イオンの水素化で完全な窒素選択性をもつ触媒の開発,および窒素選択性向上の要因の解明を目的とする。研究計画当初は,2019年度に「窒素選択性の高いNi系固溶体・金属間化合物の探索」,2020年度以降に「候補化合物に対する形態制御方法の最適化」を行う予定であったが,研究代表者の大澤が2020年3月に退職することとなり,2019年度は「Ni系固溶体・金属間化合物の調製法の確立,硝酸塩の水素化における反応次数決定法の確立」に重点を置いて研究を行った。 「Ni系固溶体・金属間化合物の調製法の確立」については,燃焼合成法によりNi-Al合金を調製後,展開することによりNi触媒を得る方法の最適化を行った。その結果,Ar下,900 ℃,1時間焼成を行うことで,転化率の低下のないNi触媒を調製することに成功した。触媒のキャラクタリゼーションの結果,転化率の低下の抑制には,α-Al2O3の存在およびAl3Ni2より生成したNiの関与が示唆された。 「硝酸イオン・亜硝酸イオンの水素化における反応次数の決定法の確立」は,本年度は,触媒として還元Niを用いた。Ni触媒による硝酸塩の水素化では,硝酸塩の濃度が高いほど水素化速度が遅く,硝酸イオンと亜硝酸イオンの反応次数は負の値となった。硝酸塩がNi触媒表面へ強固に吸着することが明らかとなったが,これは既報のPd-Cu,Pt-Ni触媒と大きく異なりNi触媒のみが持つ特徴である。一方,水素の反応次数は1.2~2.3と大きい値を示し,Ni触媒表面上への水素の吸着は弱いことが明らかとなった。また,Ni触媒表面上では、硝酸イオンと水素の吸着部位,亜硝酸イオンと水素の吸着部位が同じであり,硝酸イオン及び亜硝酸イオンと水素が競争吸着することが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)