2019 Fiscal Year Research-status Report
新規HF-塩基錯体の合成とフッ素資源循環プロセスへの展開
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19K05567
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田嶋 稔樹 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50361770)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HF錯体 / 有機強塩基 / 電解フッ素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ化カリウム(KF)と固体酸のカチオン交換反応により定量的に生成したフッ化水素(HF)に対して有機強塩基を作用させることで、種々の有機強塩基-nHF錯体を合成するべく検討を行った。その結果、1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene (DBU)、1,5,7-triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene (TBD)、さらに7-methyl-1,5,7-triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene (MTBD)の何れを用いた場合にも対応する有機強塩基-3HF錯体が定量的に得られることが明らかになった。なお、得られた有機強塩基-3HF錯体は減圧下においてもHFを遊離することなく比較的安定であった。 有機強塩基-3HF錯体を電解フッ素化に応用するために、得られた有機強塩基-3HF錯体の酸化電位をサイクリックボルタンメトリーによって測定した。その結果、有機強塩基の構造により若干違いがあるものの、おおよそ1.8 V以上の耐酸化性を有することが明らかになった。また、有機強塩基-2HF、有機強塩基-HFとHFの配位数が減少するに従い、その酸化電位は大きく低下した。 さらに、得られた有機強塩基-3HF錯体を支持塩兼フッ素化剤として用いることでトリフェニルメタンおよびフェニルチオ酢酸エチルの電解フッ素化を行った。その結果、有機強塩基-3HF錯体を用いた場合には、アミン-3HF錯体を用いた場合と比較して収率が向上することが明らかになった。これは、塩基性度の高い有機強塩基がHFのプロトンを強く捕捉することで、より裸のフッ化物イオンが生成したためだと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り有機強塩基-3HF錯体の合成に成功し、有機強塩基-3HF錯体の電解フッ素化への応用についても目途が立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
有機強塩基-3HF錯体の求核性(フッ素化能)がアミン-3HF錯体よりも高いことが予想されるため、有機強塩基-3HF錯体を電解フッ素化だけではなく種々の求核的フッ素化反応に応用することでその求核性の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は8,134円であり、ほとんど計画通りの使用状況である。また、次年度の使用計画としては物品費として本研究の遂行に必要な試薬等の購入に充てる予定である。
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