2021 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム錯形成に駆動される自己組織化パラジウムナノ構造固体触媒の開発
Project/Area Number |
19K05571
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
貝掛 勝也 神奈川大学, 公私立大学の部局等, 教務技術職員 (20437940)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 仁華 神奈川大学, 工学部, 教授 (60271136)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | テオフィリン / パラジウム / 自己組織化ナノ構造触媒 / 鈴木ー宮浦カップリング反応 / 塩化ナトリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素数7のアルキル鎖でテオフィリンをリンクした配位分子と塩化パラジウムとの自己組織化からなる触媒(以後PdBTC7)に主眼を置き、種々のカップリング基質を用いた触媒性能の深耕ならびに、反応機構解明につなげるための機器分析を駆使した触媒のキャラクタリゼーションを行った。鈴木宮浦カップリング反応による触媒評価は、モデル反応としてフェニルボロン酸とブロモベンゼンを用いたビフェニル合成により、最適触媒量0.1mol%、溶媒を水/エタノール=1:1、アルカリ触媒として炭酸カリウム1.0mmol、反応時間6時間、反応温度20℃で大気下の条件を最適条件を導き出しており、この合成条件でオルト位、メタ位、パラ位に置換基を有するアリルハライド試薬を用いたカップリング反応の結果、PdBTC7はパラ位の基質では、電子吸引基、電子供与基の区別なく反応を進行させることがわかった。オルト置換基の基質ではアミン基、ニトロ基、アセチル基を有する基質で反応がほぼ進行せず、窒素原子を有する、もしくは嵩高い置換基を有する場合において触媒作用が阻害される結果が得られた。これらの特徴の要因を探るため、反応後のPdBTC7を回収し、SEM、TEM観察、XPS測定を行うこと、および、単結晶として調製できるベンジルテオフィリンパラジウム錯体をモデル触媒として単結晶X線構造解析を行うことで、反応機構に関わる要因の抽出・検討を実施した。触媒はテオフィリンのイミダゾール環の窒素原子と塩化パラジウムが配位した錯体構造であり、塩素原子の存在が錯体構造の安定化に寄与していることが示唆された。触媒リサイクル実験において、塩化ナトリウムを添加した場合触媒が失活することなく性能が維持され飛躍的にリサイクル回数が増える結果を得ており、塩素イオンが、酸化的付加および還元的脱離過程の反応機構に効果的に関与していることを突き止めるに至った。
|