2021 Fiscal Year Annual Research Report
1分子のラセミ乳酸を含むモノマーの設計と立体選択的重合による結晶性ポリ乳酸の合成
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19K05579
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野村 信嘉 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70291408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 理貴 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20376940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポリ乳酸 / 立体選択的重合 / イソタクチック / 開環重合 / 融点 / ラセミ乳酸 / 結晶性 / 脱離 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラセミ乳酸を原料として結晶性ポリ乳酸を合成するには、二分子の乳酸分子が脱水縮合したラセミラクチドをイソタクチック選択的に重合する必要がある。しかしラセミラクチドの合成時に、副生成物としてメソラクチド(35-50%程度)も生成し、分離が必要となる。本研究では、異性体の生成や分離を考慮しなくて良い乳酸1分子からなるモノマーを設計してイソタクチック選択的に重合することで、結晶性ポリ乳酸の合成を目指す。前年度は、風船を用いた常圧窒素下でモノマーと触媒のみを用いたバルク重合を検討し、イソタクチック選択的な重合が進行することを見出した。本年度は工業的にも望まれるバルク重合の条件で、触媒量、添加剤(開始剤)量、および触媒の置換基効果について詳細に検討した。 バルク重合で生成したポリマーのSEC分析から、UV吸収の大きなポリマーが生成していることが確認された。これは触媒の一部の配位子が重合開始末端となり、ポリマーが生成したためだと考えた。そこでモノマーに対する触媒の量を2.5 mol %から2.0 mol %、1.5 mol %へと減らして検討すると、配位子から始まるポリマーの相対量をかなり小さく出来る事が分かった。得られたポリマーのイソタクチック選択性には、触媒量による影響は見られなかった。 続いて、1.5 mol %触媒存在下、添加剤(開始剤)として2-フェニルエタノールを5 mol %および1 mol %と変化させて重合を検討し、生成するポリ乳酸の分子量への影響を調べた。その結果、予想したような影響はあったものの、イモータル重合のような反比例の関係にはならなかった。 最後に再び触媒の置換基効果による最適化を検討した。様々な置換基を検討したところ、立体選択性への影響は小さかった。iPr置換基を有する触媒により生成したポリ乳酸が最も高い融点(Tm = 156度)を示した。
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Research Products
(1 results)