2020 Fiscal Year Research-status Report
オリゴ糖鎖担持高分子の保護基フリー水中合成を基盤とするグライコクラスターの創製
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19K05580
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 知成 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 准教授 (70585695)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 活性エステル / ラジカル重合 / 糖鎖高分子 / オリゴ糖 / 水中 / 保護基フリー / レクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
水中での糖鎖高分子合成法の開発を目的として、水溶性活性エステル基を側鎖に有する新規なポリマーを設計・合成した。前年度合成したN-ヒドロキシスルホスクシンイミド(sulfoNHS)を用いた水溶性活性エステル担持モノマーおよびポリマーは、従来報告されている類似の化合物に比べて水中での安定性が高くなり、その単離が可能となった上に、その後の水中での重合後修飾法による糖鎖高分子合成に利用することができた。今年度は、水中でより安定な水溶性活性エステル担持モノマーおよびポリマーを新規に設計・合成した。具体的には、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸(sulfoTFB)を用いた水溶性活性エステル担持モノマーを新規に合成した。重合性ビニル基とsulfoTFBの間に鎖長の異なるアルキル鎖リンカーを導入した種々のsulfoTFB担持モノマーを合成して、その水中での安定性を調べた結果、リンカー鎖長が長くなるにしたがって安定性が向上し、昨年度合成したsulfoNHS担持モノマーに比べて劇的に水中での安定性が向上した。さらに、合成したモノマーを重合して得られたsulfoTFB担持ポリマーはより安定なものとなり、水中で極めて安定な水溶性活性エステル担持ポリマーを合成することができた。さらに、合成したsulfoTFB担持ポリマーを用いて水中での重合後修飾法によって糖鎖高分子を合成することに成功し、得られた糖鎖高分子はレクチンと強く結合することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水中で非常に安定な水溶性活性エステル担持モノマーおよびポリマーを新規に合成した。さらに、合成した水溶性活性エステル担持ポリマーを用いた水中での糖鎖高分子にも成功し、糖結合性タンパク質であるレクチンとの結合を確認した。以上より、今年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに合成したsulfoNHSおよびsulfoTFB担持ポリマーを用いて、水中での重合後修飾法による機能性高分子の合成など応用展開を図る。また、異なる種類の活性エステルを用いて、モノマーおよびポリマーを設計・合成する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により学会等が開催中止となったため、次年度に使用する。
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Research Products
(4 results)