2021 Fiscal Year Annual Research Report
多様な点突然変異に対応する人工核酸の設計と難治性がん治療への応用
Project/Area Number |
19K05584
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
櫻井 敏彦 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (10332868)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペプチド核酸 / ヒポキサンチン / KRAS遺伝子変異 / 一塩基多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
InosineはD-リボースとHypoxanthine (Hyp) からなるヌクレオシドで, Guanine(G)以外のCytosine(C), Adenine(A), Thymine(T)と塩基対を形成する“ゆらぎ塩基”として作用する. これまでに低収率が問題となっていた,ペプチド核酸 (Peptide Nucleic Acid; PNA)モノマー(Fmoc-Hyp(OBn)-OH)の高収率合成法を確立し,このモノマーを用いた複数のoligoPNA(Hyp)ならびにInchworm型PNA-Polyethylene glycol (PEG) コンジュゲート(i-PPc(Hyp))を合成した.oligoPNA(Hyp)と合成DNAとの相補鎖形成挙動を解析した結果,Gを除く他の塩基(A, T, C)に対してより安定に相補鎖を形成することが示された.さらに,蛍光官能基(SRB)で修飾したi-PPc(Hyp)を合成した結果,細胞内にマクロピノサイトーシス経路で取り込まれることがわかった. Hypの持つ”ゆらぎ塩基”としての特徴を利用し,細胞内での1塩基変異を標的とした塩基配列依存的な細胞死誘導効果を検討した.ここでは,細胞増殖を制御するタンパク質のDNA配列に対して相補性の配列をもち,さらにこのi-PPc(Hyp)に細胞膜透過シグナルペプチドを付加したったTag-PPc(Hyp)を合成した.標的タンパク質の発現抑制による細胞死誘導効果を評価した結果,Hypの特徴とする”ゆらぎ塩基”としての塩基配列認識能は低く,配列依存的な細胞死を誘導するには至らなかった.これは,Hyp-GとHyp-Cとの熱安定性の差が比較的小さいことが原因であり,細胞内でのタンパク質の発現が十分に抑制されないことが原因であると推察された.
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