2019 Fiscal Year Research-status Report
ジアゾカルボニル化合物を鍵モノマーとする多成分縮合重合系の開発
Project/Area Number |
19K05586
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
下元 浩晃 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (40625597)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多成分重合 / ジアゾカルボニル化合物 / マルチコンポーネントポリマー / 金属カルベノイド / ドミノ反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「ジアゾカルボニル化合物を鍵モノマーとする多成分縮合重合系の開発」と題し、ジアゾカルボニル化合物の多様な反応性に基づく新規多成分重合系の開発を目的としている。さらに、生成するマルチコンポーネントポリマーの構造に着目した物性評価を行い、新規な生分解性ポリマーやπ共役系ポリマーとしての応用の可能性を探索することを目的としている。 本年度は、本申請研究の達成目標の一つである、ジアゾカルボニル化合物のO-H挿入反応を鍵反応とする多成分反応を利用した新しい縮合重合系の開発について重点的に取り組んだ。その結果、ビスジアゾケトン・β-ジカルボニル化合物・環状エーテルの3成分縮合重合によるポリ(β-ケトエノールエーテル)の合成に成功した。重合は、ロジウム錯体を用いることで効率的に進行し、NMR解析の結果、構造の明確なポリマーであることが示された。本研究は、我々の知る限り、ポリ(β-ケトエノールエーテル)構造を有するポリマー合成の初めての例である。また、得られたポリマーは、酸により容易に分解することが示された。微量の酸によっても分解可能で、かつ、構造の明確な低分子化合物に容易に分解した。そのうちの一つは、もとのモノマーであることから、ケミカルリサイクルの可能性も示された。これらの結果は、本重合系で得られるポリマーが、新しい酸分解性ポリマーとして応用可能であることを示しており、今後材料としての応用展開が期待できる。なお、これらの成果についてまとめた結果は、アメリカ化学会発行のMacromolecules誌に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要に記載の通り、当初目的としていた重合系の開発に成功しており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で達成したビスジアゾケトン・β-ジカルボニル化合物・環状エーテルの3成分縮合重合において、3成分のモノマーの組み合わせをさまざまに変化させることで、得られるポリマーの熱的性質や酸分解性挙動を自在に変化させることができる可能性があるため、今後検討を行う予定である。 また、他の多成分縮合重合として、O-H挿入反応以外の多種多様な反応を利用した重合系の開発にも取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の一部消耗品の購入に関しては、別の財源を利用したため次年度使用額が生じている。現時点で予定額と執行額が異なっているが、本助成研究の最終年度までには当初の計画通りの研究費の使用を予定している。
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Research Products
(12 results)