2019 Fiscal Year Research-status Report
Precise analysis and multidimensional control of LCST behavior of monofunctional dual stimuli-responsive polymers in organic solvents
Project/Area Number |
19K05587
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐藤 絵理子 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30422075)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 下限臨界共溶温度 / オルガノゲル / 刺激応答性ゲル / 光応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非プロトン性有機溶媒中におけるクマリン誘導体ポリマーの下限臨界共溶温度(LCST)挙動の詳細な解析および刺激応答性の多次元制御を行うことを目的とする。クマリン誘導体ポリマーは、単一の官能基が温度と光に応答する「一官能二重刺激応答性ポリマー」であり、共重合によって複数の刺激応答性基を導入した従来の二重刺激応答性ポリマーでは達成困難な「刺激応答部位の均一分散・高密度導入」が可能であることから、高感度な刺激応答性材料としての応用が期待される。 2019年度は、主として1)クマリン誘導体ポリマーをベースとするオルガノゲルの相転移挙動の解明および2)異なる温度応答部位の光パターニングに取り組んだ。 1)クロロホルム中でLCSTを示すメタクリル系クマリン誘導体ポリマー(LCSTポリマー)、およびクロロホルムの沸点付近まで可溶なメタクリル系クマリン誘導体ポリマー(非LCSTポリマー)について、それぞれをベースとするオルガノゲルを合成し、クロロホルム中での温度応答性を詳細に評価した。LCSTポリマーゲルは、温度上昇に伴い著しく体積収縮するとともに、一定温度以上では収縮相に達した。一方、非LCSTポリマーゲルは温度上昇による著しい体積変化は示さなかった。また、LCSTポリマーゲルを、構成成分であるメタクリル系クマリン誘導体ポリマーが溶媒の沸点付近まで可溶なN,N-ジメチルホルムアミドで膨潤させると、温度上昇による著しい体積収縮は見られなくなった。以上より、構成成分であるポリマーがLCSTを示す非プロトン性有機溶媒で膨潤したオルガノゲルのみ、特異的に体積相転移することを明らかにした。 2)LCSTポリマーゲルにクマリン部位の光二量化が進行する波長の光照射を行うことにより、ゲル表面に20 °C程度温度応答性が異なる部位を光パターニングすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年度分の計画であったオルガノゲルの合成と相転移挙動の詳細な評価および光パターニングを行い、非水素結合性有機溶媒中での体積相転移挙動を明らかにすると共に、オルガノゲル表面の簡便な温度応答性制御方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
クマリン誘導体ポリマーのクロロホルム溶液への第三成分の添加による温度応答性制御に取り組むと共に、これらの分子間に働く特異的相互作用を明らかにする。研究計画では、第三成分として、ナフタレン等の共役した平面構造をもつ芳香族化合物の検討を予定していたが、初年度の研究過程でN,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒とも強い相互作用を示す可能性を示唆する結果が得られている。当初予定の芳香族化合物に加え、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒の第三成分としての検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
学内の共通利用装置であるクライオプローブNMRの稼働状況等を考慮し、2019年度に予定していた一部の分析を2020年度に回したため、それに関連する費用の使用差額が生じた。一方で、2020年度に予定していた計画を前倒しで2019年度に実施したため、全体として計画の遅れはなく、2020年度以降、NMR分析を進めていく。
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Research Products
(5 results)