2021 Fiscal Year Annual Research Report
Control of Internal Structures of Polysaccharide Polyion Complexes and Their Transfer to Film Functions
Project/Area Number |
19K05588
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
橋詰 峰雄 東京理科大学, 工学部工業化学科, 教授 (40333330)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多糖 / ポリイオンコンプレックス / フィルム / 構造制御 / 成形加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多糖のポリイオンコンプレックス(PIC)からなるゲルの内部構造を制御し、さらにその構造をフィルムへと転写することを目指した。(1)PICゲルの内部構造制御に基づく力学的特性の向上、(2)成膜過程の改良によるPICの力学的特性のフィルムへの力学特性への転写、そして相補的な検討として(3)フィルムの後処理による力学的特性の向上、について系統的に検討を進めた。 本年度は、(1)については前年度までのアプローチに一区切りがついたため、別の視点からPIC構造の特徴を理解するための検討を行った。pHや光に応答する分子について、フィルムに内包された場合に応答性がどのように変化するかを追跡することで、PICの内部構造に関する知見を得る検討を行った。このほかPIC構造が分子インプリント能をもつかどうかをフィルムの分子透過性から評価した成果を論文にまとめ、それを受けてインプリント分子のサイズや電荷の効果などに関するさらなる検討を進めた。(2)については、油圧ロールプレス機を用いたPICゲルの加圧延伸によるフィルム作製について、セルロースナノファイバーを添加することで力学的異方性を保ちながらフィルムの強度を向上させることに成功した。また加熱延伸機によるフィルム成膜においてはアニオン性多糖としてヒアルロン酸を用いた場合について検討し、従来のコンドロイチン硫酸Cを用いたフィルムとの比較を行った。(3)については、フィルムに対して浸潤状態で直流および交流電圧を印加した場合の効果について検討を行った。どちらの場合でも未処理のフィルムより強度は増加し、直流電圧印加の方が高い異方性比が得られた。交流電圧印加ではPIC構造の整列、再構築を期待したがそのような効果は確認できなかった。また膨潤させたフィルムを延伸したのち乾燥させることで、延伸方向に対する力学的異方性をもつフィルムの作製に成功した。
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