2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05592
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
杉安 和憲 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (80469759)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / ナノシート / ポルフィリン |
Outline of Annual Research Achievements |
以前に合成したポルフィリン誘導体の側鎖を系統的に改変し、新たに5種類のポルフィリン誘導体を合成した。オリジナルの分子(6)は側鎖にヘキシル基(-C6H13)を有し、このヘキシル基同士のファンデルワールス力が2次元超分子ポリマーの形成のための駆動力になっていた。今回、-C8H17、-C10H21、-C12H25を有するポルフィリン誘導体(それぞれ、8、10、12とする)を合成した。ヘキシル基よりも長い側鎖によって、これらのポルフィリン分子はより強いファンデルワールス力を有すると期待していたにも関わらず、2次元超分子ポリマーを形成できないことがわかった。温度可変吸収スペクトル測定から自己集合における熱力学パラメータを求めた結果、側鎖を長くするほどにエンタルピーの利得は得られるものの、自己集合がエントロピー的に不利になることがわかった。この結果を受けて、コンフォメーションの自由度が小さいヘキシルアジド基(-C6H12N3)を有するポルフィリン分子(6N)を設計したところ、このポルフィリン分子は期待通りに2次元超分子ポリマーを形成した。得られる2次元超分子ポリマーのアスペクト比は、ポルフィリン分子6のそれと比較して小さくなっていることがわかった。分子間相互作用の強さを反映したものと考えられる。さらに、アジド基へのクリック反応によって、分子集合体に化学修飾が可能であることを実証した。本研究は、複雑な形状及び機能を有する超分子ナノシートの創出につながるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、2次元超分子ポリマーの精密合成という目的において、その最も根本的な構造因子である2次元超分子ポリマーの形状を制御できることを示すことができた。また、2次元超分子ポリマーを得るための分子設計指針を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
ポルフィリン分子8、10、12の結果をもとに、新たなポルフィリン分子として6Nを設計したことは上述の通りである。同様の分子設計指針からフルオロアルキル鎖(-C2H4C4F9)を有するポルフィリン分子(6F)も合成した。驚くべきことに、このポルフィリン分子が円形の2次元超分子ポリマーを与えることを発見した。今後、6Fの自己集合メカニズムを突き止め、その精密合成を達成する。 また、2次元超分子ポリマーのブロックコポリマー合成に挑戦する。これまでに得られた知見から2次元超分子ポリマーを合成するためのモノマーの分子設計指針が明らかとなりつつある。これを生かして、異なる金属を有するポルフィリン分子や、化学修飾が可能なポルフィリン分子を合成し、6あるいは6Nとの2次元ブロック超分子ポリマーを合成する。1次元のブロック超分子ポリマーについては既に成功しているが(Sugiyasu and co-workers, J. Am. Chem. Soc., 2018, 140, 10570)、もし、2次元で同様のコンセプトを実証することができれば、複雑で高機能の分子集合体の創出に繋がると期待できる。
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Research Products
(8 results)