2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K05592
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
杉安 和憲 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (80469759)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己集合 / 超分子ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、コンフォメーションの自由度が小さいヘキシルアジド基(-C6H12N3)を有するポルフィリン分子(6N)を設計し、このポルフィリン分子が期待通りに2次元超分子ポリマーを形成することを見出した。さらに、得られる2次元超分子ポリマーのアスペクト比は、2017年に報告したポルフィリン分子6のそれと比較して小さくなることを明らかにした。分子間相互作用の強さを反映したものと考えられる。このように分子間相互作用の強さを調節することよって、2次元超分子ポリマーの精密合成が可能になることを実証した。今年度は、この知見を元に、2次元超分子ポリマーのアスペクト比を制御することを試みた。 6Nと6を混合して共集合させたものを2次元超分子ポリマーの原料として用いた。その結果、得られる2次元超分子ポリマーのアスペクト比は、これまでのどの2次元超分子ポリマーよりも大きくなることを見出した。2種類の異なる分子が共存することによって、集合体内におけるモノマー分子のパッキングが悪くなり、結果として分子間相互作用が弱められたことに起因すると考えられる。このように、モノマーの分子設計だけに依存せずに、2次元超分子ポリマーの精密合成が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界に先駆けて2次元超分子ポリマーの形を制御できることを実証した。また、そのための分子設計指針や自己集合メカニズムの必要条件などを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元超分子ポリマーの画像を統計的に評価した結果、アスペクト比が制御されていることがわかったものの、それぞれの2次元超分子ポリマーの形状は未だ不均一であり、その縁が粗かった。最終年度となる今年度は、この点を改善するための合成法を確立する。これまでに得られた自己集合メカニズムに関する知見によれば、前駆体となる準安定状態の分子集合体に着眼し、その安定性を制御することによって、本目的が達成できると期待している。
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