2020 Fiscal Year Research-status Report
光応答脱濡れで実現する超高速マイクロ表面レリーフ形成の動的制御
Project/Area Number |
19K05595
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
生方 俊 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00344028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須丸 公雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (40344436)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表面レリーフ / 光物質移動 / アントラセン / 光二量化 / 脱濡れ |
Outline of Annual Research Achievements |
基板表面から薄膜が剥離する脱濡れ現象を空間的に制御することで、これまでに類のない高速物質移動に基づいたレリーフ形成システムを構築することを目的として、当該年度は、(1)光連結性表面基板の開発、(2)分子量変換材料の開発、(3)脱濡れを利用した表面レリーフ形成、の3つの課題の実施計画を設定し、研究を進めた。 (1)光連結性表面基板の開発の計画においては、新たにアントラセン基の2位で接続したシランカップリング剤を合成し、ガラス基板への吸着膜作製条件の検討を行った。アントラセン基を有するシランカップリング剤溶液にガラス基板を浸漬させた後の加熱反応時間の増加とともにアントラセンに起因する紫外域の吸光度は増加し、単層的な吸着からさらに多層的な吸着へと変化することがわかった。すなわち、加熱反応時間を制御することで、ガラス基板上に吸着するアントラセンの密度を制御できることを見いだした。 (2)分子量変換材料の開発の計画において、新たに二つの新規ビスアントラセンを合成し、溶液中および薄膜中における光反応性を調査し、これまでに合成してきた一連のビスアントラセンと比較を行った。その結果、アントラセンとスペーサの接続様式によって、光連結性、および熱解離性が大幅に異なることを見いだした。また、スペーサ部分の構造によって薄膜の薄膜の安定性を制御しうることも見いだした。 (3)脱濡れを利用した表面レリーフ形成の計画において、(1)で作製した単層的に表面修飾された光連結性表面基板上に分子量変換材料薄膜を作製し、室温下パターン紫外光を照射することで、露光部においてのみ光二量化に基づく基板との共有結合を形成させた。この試料を加熱することで、物質移動に伴う表面レリーフが形成されることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、(1)光連結性表面基板の開発、(2)分子量変換材料の開発、(3)脱濡れを利用した表面レリーフ形成、の3つの課題の実施計画を設定し、研究を進めてきた。(1)の計画においては、新規なアントラセン基を有するシランカップリング剤を合成し、吸着膜作製条件の検討を行った。シランカップリング剤溶液にガラス基板を浸漬させた後の加熱反応時間を変化させることでガラス基板上の吸着したアントラセンの密度を制御できることを見いだし、単層的に表面修飾された基板の調製に成功した。(2)の計画において、新規ビスアントラセンを二種類合成し、溶液中および薄膜中の光反応性を調査した。さらに(3)の計画において、新たに調製された表面修飾基板上においても分子量変換材料による表面レリーフが形成されることを見いだした。以上より、ほぼ計画通りに進行し、研究目的は概ね計画通りに達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
光連結性表面基板として、これまでに合成してきたアントラセンを有するシランカップリング剤の吸着条件を精密に制御し、また、分子量変換材料として、これまでに得られた知見を踏まえ、最適な分子量変換材料を設計・合成し、これらを組み合わせることで脱濡れを利用した表面レリーフ形成の最適化を検討する。さらにこの分子量変換材料のオンデマンド精密パターン光照射装による細胞制御への展開を図る。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに予算執行されたが、参加予定であった学会は中止もしくはオンラインで開催となったため、旅費の執行が進んでいない。次年度も同様な状況の場合には、物品費として使用する予定。
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Research Products
(2 results)