2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular design of polymer dispersants for the improvement of toughness of cellulose nanofiber-reinforced resin composite materials
Project/Area Number |
19K05600
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榊原 圭太 京都大学, 化学研究所, 助教 (20618649)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高分子分散剤 / セルロースナノファイバー / 樹脂複合材料 / 強靭 / ボトルブラシ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分散剤による界面制御の観点から、剛性と靭性を両立したセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂複合材料を開発する。CNF/樹脂界面に焦点を当てたアプローチを採用し、大変形に対して分散剤被覆CNFを界面で滑らせる(力学エネルギーを熱エネルギーに散逸する)方策を採る。本目的を遂行するために、高分子分散剤としてボトルブラシ構造に着目した。ボトルブラシとは、高密度くし型ポリマーであり、直鎖ポリマーの糸まり状形態とは対照的に、排除体積効果により主鎖が伸張した棒状の形態をとり、多数のポリマー末端に由来する興味深い特性を示す。その性質より、ボトルブラシは新規高分子分散剤としての潜在性を有する。今年度は種々の分子種・分子量を有するボトルブラシを系統的かつ十分な量で合成することに取り組んだ。セルロース親和性側鎖として水酸基担持型(poly(2-hydroxyethyl methacrylate); PHEMA)を、樹脂親和性側鎖として直鎖炭化水素担持型(poly(lauryl methacrylate); PLMA)を選択した。原子移動ラジカル重合法や有機触媒型リビングラジカル重合法を組み合わせることで、100グラムスケールで数種のボトルブラシ型分散剤を合成しえた。予備的ではあるが、得られたボトルブラシ型分散剤を用いてCNF強化ポリエチレンを作製したところ、比較的高い弾性率を維持しつつも破断伸びが従来値より数倍増加することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボトルブラシ型分散剤を十分な量で得られる合成経路を確立しており、ほぼ当初の研究計画通り進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度に合成した分散剤等を用いたCNF樹脂複合材料の作製と力学特性の評価を通じ、複合材料の強靭化を導く系の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度は新規分散剤の合成が順調に進み、数種のものを十分な量で確保できた。一方で、所属先変更となることが今年度後期に判明したため、使用額を必要最小限に留めた。 (使用計画) 次年度は複合材料の作製および評価に取り組む。所属先変更に伴い、必要な消耗品や物品を厳選して購入し、シームレスに研究活動に取り組む。
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