2020 Fiscal Year Research-status Report
結晶相-非晶相構造制御と精密共重合を基盤とする高性能アクリルゴムの開発
Project/Area Number |
19K05610
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
竹中 克彦 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (30188205)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ステアリルアクリレート / ドデシルアクリレート / アクリルゴム / 乳化重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究でポイントとなるのは、結晶性の長鎖アルキル基をエステルアルキル基として有するアクリル酸エステル類を合成し、それと短鎖アルキル基を有するアクリル酸エステルを共重合させて結晶性セグメントを含むアクリルゴムを調製することである。生成ポリマーの側鎖は室温では結晶化してフィラーのように働くと共に、加熱されたときは側鎖の融解による吸熱によりゴム全体の温度上昇を軽減し、耐熱性の向上を図る。 前年度は結晶性の側鎖としてC18アルキル基を有するステアリルアクリレート(SA)の合成とエチルアクリレート(EA)の共重合を行った。その結果、前者のモノマーは非常に疎水性が高く、そのままでは乳化共重合でポリマー鎖中にSA単位を導入することが困難であること、ならびに一部のSAが単独重合し、SAホモポリマーが生成してしまった。一方、メチルβシクロデキストリンを重合系に添加し、かつ事前にモノマー全量を反応器に入れて完全に乳化させ、そこに開始剤水溶液を数回に分けて添加して加熱することで、共重合体が生成することを見いだした。通常のアクリル酸エステル類の乳化重合では重合速度が速いためモノマーや開始剤を複数回に分けて添加して収率の向上を図ると共にゲル分の生成を防ぐが、SAの場合にはこの方法は困難であると思われる。本年度は疎水性が低いと考えられC12アルキル基を側鎖として有するドデシルアクリレートを合成し、その重合を試みた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ渦の影響で本研究を担当していた博士課程学生(外国人)が一時帰国したまま再入国できなくなってしまった。他の学生(学部3年生)が代わって当該テーマを担当しているが重合の再現性が悪く、ゴム物性を評価できるようなポリマーが得られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続きC12モノマーの重合を行うと共に、もう一つの目的である部分架橋アクリルゴムを合成するために側鎖にトランス脂肪酸から調整した不飽和アルキル基を有するモノマーを合成し、その乳化重合を試みる。
|