2019 Fiscal Year Research-status Report
耐熱・難燃性を備え柔軟なエアロゲル繊維の創出とエアロゲル化可能な高分子構造の解明
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19K05611
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
廣垣 和正 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (00512740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エアロゲル / 超臨界二酸化炭素 / アラミド / 多孔質 / 柔軟性 / 低密度 / 断熱性 / 湿式紡糸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高強度・高弾性で耐熱・難燃性を有する種々のアラミド繊維のナノフィブリル分散液から、湿潤ゲル繊維を湿式紡糸した後、超臨界乾燥を行うことで、低熱伝導率で柔軟性を持ち、堅牢で耐熱性と難燃性に優れたエアロゲル繊維の創製を目指している。2019年度は、アラミド分散液からの冷却による湿潤ゲル化条件の検討を行い、5種類のアラミドを用いフィブリル化剤および、分散液の組成を変えることで、アラミド分散液のゲル化過程に及ぼす分子構造および、分子間相互作用の影響を明らかにした。また、アラミド湿潤ゲルからフィブリル化剤を取り除く溶媒置換条件の検討を行った。直線性の高いパラ型のアラミドがエアロゲル化に適しており、アラミド分子は水素結合とπ-π相互作用による強い分間相互作用を示すが、これを阻害する官能基をわずかに導入することで、冷却ゲル化時の急激な分子会合によるフィブリルの伸長不良を抑え、冷却過程の後によりフィブリルのネットワークが発達したゲルが得られた。このゲルの溶媒を置換してフィブリル化剤を取り除くと、結晶化が他のアラミドと比べてより大きく進行し、後の超臨界乾燥時にゲルネットワークの破壊を抑制して、より微細な多孔構造を持つエアロゲルとなることを見出した。ゲルからフィブリル化剤を取り除く溶媒としてアセトンが適することを確認した。本研究に関連して、原著論文(査読あり)1報、国際会議論文(アブストラクト審査のみ)1報、資料・解説2報を発表し、学会発表5件(国内4件、国際1件)、講演3件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した通り、2019年度は当初の計画に従い、アラミド分散液のゲル化過程に及ぼす分子構造および、分子間相互作用の影響を明らかにし、アラミド湿潤ゲルからフィブリル化剤を除去するための最適な溶媒置換条件を確認することができた。これらの研究の過程で、2020年度に実施を計画したアラミド湿潤ゲルの超臨界乾燥条件の検討および、アラミドエアロゲルの構造評価も、一部前倒しして取り組めたことから、研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況に記したように、2019年度は研究が概ね順調に進んだことから、2020年度は当初の計画に従い、アラミド湿潤ゲルの超臨界乾燥条件の検討および、アラミドエアロゲルの構造評価を進めると共に、2021年度に実施を計画したアラミドエアロゲル繊維の紡糸法の検討および、アラミドエアロゲル(バルクゲル)および、エアロゲル繊維の物性評価も進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い2020年度始めの実験の見通しが不透明であったため、2019年度末にそれに向けた試料作製準備を控えたことから、これに用いる予定であった約2万円を2020年度に繰り越すことにした。2020年度6月より実験が再開できるため、試料作製用の消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)