2022 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激応答性光学活性4級シランの開発:円偏光燐光特性の探究と薄膜材料への展開
Project/Area Number |
19K05627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20342636)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジシラン結合 / 外部刺激応答性 / 環状化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
Si-Si σ結合はC=C π結合と類似の反応性や物性を示す。本研究グループではこの現象を「無機化学における共役」と呼んでいるが、Si-Si σ結合の柔軟性や芳香族置換基とのσ-π共役を活用し、様々なジシラン架橋マクロサイクルの合成、構造、光物性などについて検討している。「無機化学における共役」は「有機化学における共役」であるπ共役とは大きく異なる。中でも、σ-π共役から構成される環状化合物は外部刺激で結晶構造が大きく変化すると考えられる。すでに、2量体(テトラシラシクロファン)の合成や温度変化による構造変化については検討しているので、ここでは3量体マクロサイクルの合成や温度変化による構造変化について検討した。 1,1,2,2-テトラメチル-1,2-ビス(4-(1,1,2,2-テトラメチルジシラニル)フェニル)ジシランを出発原料とし、芳香族ヨウ化物とのカップリング反応にて3量体のマクロサイクルを純粋な形で単離した。3量体はメタノールから再結晶すると単結晶が得られた。この結晶は近紫外領域で固体蛍光特性を示すものの、結晶状態では柔軟性に欠け外部刺激による結晶の構造変化は起こらなかった。3量体は塩化メチレン中で、銀(I)イオン(AgSbF6)と相互作用をし、錯体を形成する。直鎖状の3量体が銀(I)錯体を形成しないことから、お椀状の空孔にAg(I)-π結合を介して取り込まれていると推測される。その構造は1H NMRやESI-MSの測定から明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Reversible Transition between Discrete and 1D Infinite Architectures: a Temperature-Responsive Cu(I) Complex with a Flexible Disilane-bridged Bis(pyridine) Ligand2023
Author(s)
Zhao, Y.; Nakae, T.; Takeya, S.; Hattori, M.; Saito, D.; Kato, M.; Ohmasa, Y.; Sato, S.; Yamamuro, O.; Galica, T.; Nishibori, E.; Kobayashi, S.; Seki, T.; Yamada, T.; Yamanoi, Y.*
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Journal Title
Chem. Eur. J.
Volume: 29
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Thermosalient phenomena in molecular crystals: A case study of representative molecules2023
Author(s)
Yamanoi, Y.; Omoto, K.; Nakae, T.; Nishio, M.
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Journal Title
“Soft Crystals: Flexible Response Systems with High Structural Order”, Kato, M., Ishii, K. Eds. Springer, Singapore,
Volume: 2023
Pages: 131-153
Peer Reviewed / Open Access