2021 Fiscal Year Annual Research Report
次世代型高密度有機分子メモリの創出を指向した有機スイッチング分子の開発
Project/Area Number |
19K05631
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
隅本 倫徳 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40414007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金属ビスフタロシアニン / 機能性分子設計 / スイッチング分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、耐熱性、耐薬品性などの使用特性で優れ、様々な電子材料に利用されている機能性色素である金属ビスフタロシアニン(MPc2)およびその類似構造に着目し、一つの分子で二つの分子構造を,熱もしくは光により,行き来することができるスイッチング分子を開発することを目的とした。2021年度は、光誘起異性化に関する具体的な構造変換経路および酸化還元電位測定による構造変化の確認を行った。 本研究では昨年度に引き続き、光誘起異性化反応について検討したところ、中心金属がTiの中性分子の場合、基底状態ではD2, C2およびD4d対称構造が安定に得られることがわかっている。基底状態のD2およびC2構造は、励起状態では両者ともC2構造になることがわかった。一方、基底状態のD4d構造は、励起状態でも対称性に変化がみられずD4d対称構造の励起状態が得られた。しかしながら、励起状態においても二構造間を行き来する構造変化を確認することができなかった。 中性のTiPc2に対して、酸化還元電位の測定を行ったところ、酸化反応では電子が一気に二つ抜け、還元反応では電子が一つずつ戻る、という特異的な現象が見られた。これは分子構造の取り得る対称性と電子状態が大きく起因しており、電子を絡めた分子構造のスイッチングの可能性を示す結果であると考えられる。これらについては、研究期間終了直前にわかった結果であり、引き続き、本現象について解析を行うとともに、これらを活かした有機スイッチング分子の構築を試みたいと考えている。
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Research Products
(1 results)