2021 Fiscal Year Research-status Report
低分子性網目および高分子性網目を活用する多成分混成系ゲル材料創製
Project/Area Number |
19K05634
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
大背戸 豊 奈良女子大学, 工学系, 准教授 (70324811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子性ゲル / 低分子ゲル化剤 / 高分子ゲル化剤 / ゲル形成 / 混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、これまでの研究活動の成果である「低分子ゲル化剤の混合によるゲルの物性向上・物性機能発現」をもとにして、いくつかの新規化合物系あるいは既存化合物系において、低分子ゲル化剤同族体の混合・多成分化によるゲルを構成する網目構造の改質とこれに誘起されるゲルの物性機能向上を評価・検討し、高性能新規ゲル材料創製を指向する研究を進めてきた。本研究では上記研究に関する知見を利活用し、新たな低分子ゲル化剤/高分子ゲル化剤あるいは高分子/高分子ゲル化剤からなる混成系分子性ゲル材料創製とその物性機能発現機構解明の基盤となる研究を行うことを目的とする。 本年度は、低分子ゲル化剤/高分子ゲル化剤混成系分子性ゲル材料として、アルキルグルカミン系低分子ヒドロゲル化剤と高分子ヒドロゲル化剤からなる新規混成系分子性ゲルについて、ゲル形成能および力学物性を検討した。その結果、これらが単独ゲル系では得られない良好なゲルとなることを見出した。今後、検討の範囲を拡げて、様々な混成系分子性ゲルの物性機能検討とその物性発現機構の解明を行っていく。 また、高分子/高分子ゲル化剤混成系分子性ゲルとして、極性基を有する水溶性高分子と高分子ヒドロゲル化剤からなる新規混成系分子性ゲルについて、ゲル形成能および力学物性を検討した。その結果、これらがそれぞれの単独系では認められない濃度変化に伴うゲル形態の変化および良好な力学物性の発現するゲルとなることを見出した。今後、詳細な力学物性検討とその物性機能発現機構の解明を行っていく。さらにこの系では、水溶性導電性高分子/高分子ゲル化剤混成系分子性ゲルとして、各種の導電性高分子ポリアニリンと高分子ヒドロゲル化剤からなる新規混成系分子性ゲルのゲル物性と導電性との相関関係の検討から、混成系分子性ゲルの電子物性検討を行いつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低分子/高分子混成系分子性ゲルあるいは高分子/高分子混成系分子性ゲルの検討範囲を拡げつつ、物性機能検討さらにはゲルの電子物性開拓を進めつつある。今後、得られた混成系分子性ゲルの詳細な内部構造を検討しつつ、ゲル創製と物性機能発現機構の解明を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、ゲル化剤の探索研究により既存低分子化合物群(ゲル化剤)から見出した新規低分子ゲル化剤群および分子設計・合成により得られた新規低分子ゲル化剤群および新規高分子ゲル化剤群に加え、高分子材料を構成成分とする混成系分子性ゲルの物性機能評価と物性機能発現の解明をさらに進める予定である。具体的には、ゲル形成能、得られたゲルの力学物性(弾性率、チキソトロピー性)、および分子性ゲルを構成するネットワークおよびファイバーの構造解明を行い、異なる系の分子性ゲルの物性評価結果を比較検討することで、混成系分子性ゲルにおける物性機能発現機構の解明の手掛かりを探る。
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Causes of Carryover |
(理由)2022年初頭のコロナ禍での大学施設および外部施設使用制限により、予算使用状況に遅れが生じ、当初計画していた予算額の使用が予定通りにできなかった。 (使用計画)前年度に使用予定であった物性評価(有料機器を使用する)を次年度に行い、研究を円滑に進めていく。
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Research Products
(8 results)