2020 Fiscal Year Research-status Report
配列が異なる6π電子環状系フォトクロミック分子の光反応性の解明
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19K05639
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
高見 静香 新居浜工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (70398098)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / 発光材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ジアリールエテンやターアリレンと骨格の類似したアリールビニルフェニルチアゾール誘導体を合成し、フォトクロミック挙動を検討した。また、ジアリールエテンでは蛍光挙動についても検討されており、フォトクロミズムに伴う蛍光スイッチングが報告されている。本年度では、3種類のアリールビニルフェニルチアゾール誘導体の蛍光挙動について検討した。誘導体のヘキサン溶液に紫外光を照射すると青色に発色した。紫外光照射に伴い青色蛍光の強度は次第に低下した。そして、着色体は、橙色の蛍光を発した。これら3種の化合物はいずれも、溶液中で紫外線の照射によりフォトクロミック反応が進行して、赤色、紫色、青色へと蛍光色が変化し、また可視光の照射で元に戻る可逆性を有していることがわかった。興味深いことに、メチル基を導入すると青色の蛍光量子収率は6倍向上し、赤色の蛍光量子収率は半分に減少することを見出している。蛍光量子収率がこの小さな修飾部位で大きく変化することは興味深く、その原因を蛍光寿命の値より各過程の反応速度定数を見積もることで考察を行った。その結果、分子構造との相関性によるものが大きいことが示唆され、今後は単結晶X線構造解析やガウシアン計算による分子構造の最適化で再安定構造の知見を得る予定である。また、本題の配列の異なる新規のフォトクロミック化合物を二種合成することに成功した。これらも、光照射により着色する色変化を示した。次年度以降、そのフォトクロミック反応性を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度前半はコロナ禍のため、学生が登校できず卒業研究が停滞した。それと同時に、目的化合物の合成や精製に時間がかかり他大学との共同研究が行えなかった。2020年度後半からは、化合物の合成が成功したことから、蛍光挙動の測定を行うことができ、研究が少し進みだした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に合成した配列の異なる2種の化合物について、光反応性(光反応量子収率や耐久性、熱安定性)や蛍光挙動(蛍光量子収率および蛍光寿命)を検討する。分子構造と光反応性や蛍光挙動の相関について明らかにしたい。分子構造については、最安定構造を検討するためにガウシアン計算を行う。また、固体化する化合物は再結晶を行い単結晶構造解析を検討する。蛍光挙動については他大学と共同研究で行う。
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Causes of Carryover |
2020年度は予想だにしなかったコロナ禍となり、研究が思うように上手く進展せずに物品購入が停滞した。2020年度の年度末からガウシアン計算システムの購入を検討しており、今年度は早い時期にガウシアン計算システム(100万以上)を購入する予定である。また、光反応を検討するために分光器(50万)の購入も検討している。
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