2021 Fiscal Year Research-status Report
配列が異なる6π電子環状系フォトクロミック分子の光反応性の解明
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19K05639
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
高見 静香 新居浜工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (70398098)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光応答性分子 / 光反応量子収率 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高感度に光応答する新しい分子の開発である。光応答分子は光照射により異なる2種の状態を可逆に創り出すことが可能である。そのため、異なる2つの物性(色調・誘電率・屈折率等)を可逆にスイッチングできることから、光スイッチング材料、調光材料、表示材料へと応用が可能である。本研究では、新しい分子骨格に着目した光応答性分子を開発し、詳細に検討したところ蛍光色のスイッチングも可能であることがわかった。類似する分子には、蛍光が観測されない事から、この分子独自の特徴だと言える。そして、光反応量子収率や蛍光量子収率を測定すると、わずかな分子構造の違いで値が大きく異なることも見出した。その光反応挙動や蛍光挙動やフォトクロミック挙動について計算科学からの考察を行うために、本研究支援を頂きガウシアン計算システムを導入することができた。分子構造の計算シミュレーションによると、光反応活性な構造と不活性な構造では光反応不活性な構造が熱的に安定であることが示唆され、それが光反応性や蛍光特性に影響を及ぼすことがわかった。また、左右の配列を入れ替えた新しい光応答性分子の合成に成功し、フォトクロミック挙動や蛍光挙動について比較検討を進めている。配列を入れ替えると色調や熱安定性も異なる傾向が見られている。当該年度での研究実績としては、査読論文1報(共同研究)、学会発表3件(内招待講演1件)、著書1件(分担執筆)となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ここ2年のコロナ禍で他大学へ出向いての機器利用が進まず研究はやや遅れている。また、目的とする分子合成は数段階にわたるが、その途中過程で合成手法の見直しや精製分離方法の試行錯誤により当初想定したよりも時間がかかっている。しかし、昨年度になり、合成法を確立することができた。また、計算科学を実行するためにガウシアン計算システムのセットアップも行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
合成法が確立したので、大量合成に取り掛かる。分離精製法には課題が残るが、難しい場合には共同研究者に手助けしてもらい行う。他大学への機器利用については、県内の愛媛大学は再開していく。また、他機関の研究支援プロジェクトも活用し、機器共同利用を行える環境を構築する。
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Causes of Carryover |
分子合成が上手く行かず試薬やガラス基板が購入が進まなかった。次年度が研究期間の最後の年なので、研究の消耗品のみならず論文投稿、学会発表など成果を公表する費用に充てていきたい。
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