2022 Fiscal Year Annual Research Report
配列が異なる6π電子環状系フォトクロミック分子の光反応性の解明
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19K05639
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
高見 静香 新居浜工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (70398098)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フォトクロミズム / 光反応量子収率 / 蛍光量子収率 / 熱安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
6π電子環状系フォトクロミック分子の光反応挙動、蛍光挙動、熱安定性などの反応性は、構成するユニット(Aはアリール部位、Eはエテン部位)の配列や種類で大きく影響を受ける。中でも最近見出したAAE型分子は従来のAEA型やAAA型の特徴を併せ持つ高い光応答性を有していることから、本研究では光機能性材料への応用性を秘めた分子と考えてフォトクロミック挙動について研究を行った。しかしながら、チエニルビニルチアゾール誘導体(AAE型分子)の蛍光特性はジアリールエテンやターアリレン誘導体と比較すると明らかになっていない。本研究では、これら誘導体の蛍光特性にも着目して検討を行った。1aおよび2a(メチル基あり)のトルエン溶液に紫外光を照射すると青色に発色し、その時の最大蛍光波長は409 nmと402 nm であった。閉環体1bと2bの溶液は橙色で赤色に発光し、その時の最大蛍光波長は634 nmと610 nm であった。これら誘導体の両異性体から蛍光を発し、光照射により蛍光色が青色から紫色、赤色へと変化することを確認した。これは、類似骨格のAEA型ジアリールエテンやAAA型ターアリレン誘導体には見られない特徴からフルカラーに発光する有機EL素子としての可能性を秘めている。また、メチル基を導入するだけでフォトクロミック挙動に違いが見られたので、これらのフォトクロミック挙動や蛍光挙動と分子構造の相関性についてDFT計算より検討を行った。また、左右の配列を入れ替えたEAA型分子も合成しその光応答性や熱的安定性についても詳細に検討した。
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