2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K05641
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
江口 美陽 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (10520778)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 層状ケイ酸塩 / 有機分子 / 吸着 / 電荷分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、層状ケイ酸塩表面が鉄錯体ポリマー(カチオン性)の酸化還元電位を低下させる現象を見いだすことに成功した(ACS AMI, 2017)。これは錯体の中心金属イオンが層状ケイ酸塩の表面負電荷により静電的に中和されることで束縛エネルギーが低下したことが原因である可能性が、X線光電子分光法(XPS)によって示唆された。もしこれがある範囲の分子に見られる一般的な現象であれば、分子の酸化還元電位の制御法として通常行われる「置換基導入(有機合成反応)」を「ケイ酸塩の添加」というよりシンプルな手法に替えることができる。そこで、「ケイ酸塩表面における分子の酸化還元電位変化」をより効果的に引き出す方法論を確立することが学術的に重要であると考え、これを本研究の目的とした。有機合成反応への展開を視野入れ、上記のような現象が金属イオンだけではなく、有機カチオンでも見られるかどうかを観察した。メチレンブルーを用い、層状ケイ酸塩との複合体についてサイクリックボルタンメトリー曲線を測定したところ、鉄錯体ポリマーと同様に電荷の静電的中和が原因と思われるピークシフトが確認された。さらに、置換基の違いによる電子分布変化への影響を考察するために、二種類の四価カチオン性ポルフィリン(メチルピリジニウムポルフィリンおよびトリメチルアニリニウムポルフィリン)について、層状ケイ酸塩表面における物理化学的挙動を比較観察した。具体的には吸収スペクトル・固体NMR・XPS測定などを行い、分子が吸着の前後でどのように電子分布を変え、物性に変化をもたらすのか、という点について考察を行った。
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