2019 Fiscal Year Research-status Report
Pore Structure Design of Metal Phosphonate MOFs by Isoreticular Synthesis
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19K05645
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
前田 和之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60343159)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MOF / 金属ホスホネート / 粉末X線結晶構造解析 / 多孔性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
オリゴフェニル骨格を有しメチレン基を介してホスホン酸基と結合した芳香族テトラホスホン酸を合成し、水熱合成やソルボサーマル合成によりこれらをリンカーとするいくつかの結晶性MOFを得た。この中で、テルフェニル骨格を有するホスホン酸と亜鉛からなるZnTPTMPについて、粉末X線結晶構造解析により結晶構造を決定できた。無機部位の結合様式が既知構造とやや異なっているものの、芳香族部位がスタックして細孔壁を形成した1次元チャンネルを有することが明らかになった。 また、ピレン骨格を含み同様の骨格構造を取りうるテトラホスホン酸配位子を合成し、DMF等を溶媒とするソルボサーマル合成によりアルミニウムや亜鉛を含むMOFを得た。特にアルミニウムMOF Al-Py-DMFについてはやや結晶性が低いものの、電子線回折を利用した3D-EDTにより格子定数、空間群を決定することができ、実空間法による結晶構造モデルの導出、及びRietveld法による構造精密化に成功した。得られた結晶構造から、このMOFでは2種類の1次元チャンネルの存在が明らかになり、既に得られているビフェニル骨格を有する配位子と亜鉛からなるMOFと類似したisoreticularな骨格構造を持つことがわかった。200 ℃の前処理により回折線のシフトは見られるものの、結晶構造は保持されていた。また、窒素吸着によりI型の吸着等温線を与えることからミクロ多孔性を確認した。さらに、ニトロベンゼンやヘキサフルオロベンゼン等の電子求引性置換基を有する分子に対して著しい消光を示すことが明らかとなり、光学センサーとしての可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同型構造を形成しうるテトラホスホン酸配位子の合成方法を確立することができた。また、ピレンを含むテトラホスホン酸配位子を用いて多孔性MOFが得られ、粉末X線回折により結晶構造決定に成功し、我々が合成した既往のMOFとisoreticularな関係にあることがわかった。また、ニトロベンゼン等の電子求引性置換基を有する分子に対して消光を示した。こうした点から、概ね順調に進展しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に確立した配位子合成方法に基づき得られる一連の配位子から引き続きMOFを合成する。これまで得られているMOFはやや結晶性の低いものも多く、構造解析が容易でないことが懸念点として挙げられるが、3D-EDT法がこうした低結晶性化合物の構造解析に有用であることが明らかになったので、積極的に検討していく。また、ピレンを骨格に含みホスホン酸基を持つ初めてのMOFが得られたので、ニトロ化合物以外のセンシング機能について調査する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの問題により参加を予定していた国内学会が中止になったほか、学生の登校自粛要請等で2月以降の研究活動も少なからず影響があり、次年度使用額が発生した。ちょうど本研究に欠かせないガス吸着装置が故障し、修理費用に相当額が必要になるとみられるので、2020年度分と合わせて修理費用として支出する予定である。
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Research Products
(2 results)