2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K05646
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
林 宜仁 金沢大学, 物質化学系, 教授 (10231531)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポリオキソバナデート |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリオキソバナデートは、ピラミッド型のVO5構造単位で縮合する際に、ピラミッドの底面を内側に向けて配向することでチューブ状や球状の骨格形成が可能となる。本研究では、チューブ骨格内に2つのフルオロ基を含有する球状ポリオキソバナデートの形成を達成した。このフルオロポリオキソバナデートの構造は、最短のチューブ構造と表現することができる。チューブ内に含有させるテンプレートの拡張により、さらに長いチューブ状バナジウム酸化物分子を合成するための基礎指針を確立した。その結果、細長い分子であるアセトニトリルやスルホン基を持つテンプレートなどがチューブの延長に有効であることを見出し、V18, V30などのチューブ状分子の合成方法を確立した。また、オレフィンのアルキルパーオキサイドによる酸化反応触媒へと応用した際に、過酸化物がポリオキソバナデート骨格に担持された中間体の単離にも成功した。そして、オレフィンとの酸化反応後に生成すると想定されるポリオキソバナデートのアルコキソ化学種の単離にも成功した。触媒反応中のすべての触媒化学種は51V NMRで追跡可能であり、チューブ状V12化学種、パーオキソ種、アルコキソ化学種が触媒反応の進行とともに生成する過程を追跡した。ポリオキソメタレートを用いた触媒反応では、一般にその中間体を有機金属化学のように単離して証明するような研究は実現していなかった。本研究により。想定される反応機構の中間体すべてを、まるで有機金属化学でよく行われてきた活性種の単離のように、分子性の酸化物分子であるポリオキソメタレートで初めて達成したもので、学術的な意義が非常に高い。ナノチューブと呼ばれる物質群は、基本的には混合物として研究されることが多いが、本研究では純物質として組成と構造が確定したチューブ状分子の化学を発展させるための基礎を築いた。
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Research Products
(7 results)