2021 Fiscal Year Annual Research Report
次世代リチウム二次電池のためのケイ素のリチウム化プロセスの徹底解明
Project/Area Number |
19K05649
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
道見 康弘 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (50576717)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | リチウム二次電池 / ケイ素系電極 / 金属ケイ化物 / コンポジット / イオン液体 / 体積膨張 / リンドープ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに金属ケイ化物 (MSix)およびSi単独電極がそれぞれLiを吸蔵-放出するものの,それらをコンポジット化させるとSiがほとんどの容量を担うことが示唆された.しかしながら,そのメカニズムは不明であった.2021年度は各電極のLi拡散係数およびLi吸蔵時の形成エネルギーを調べることによりメカニズム解明を試みた.Si中よりもMSix中の方がLiの拡散が早いことがわかった.また,Li-Si合金においてLi濃度が高くなると熱力学的安定性が向上するのに対して,Li-MSixの場合ではLi濃度がある濃度に達すると熱力学的に不安定になってしまうことが明らかとなった. これまでにSiにLaSi2をコンポジット化させることによりSi単独電極よりも優れたサイクル性能が得られることを見出してきた.また,コンポジット化させる物質にはSiからの応力を緩和できる機械的性質,高い電子伝導性,適度なLi貯蔵能および高い熱力学的安定性,の4つの性質が求められることも明らかにしてきた.充電前ではLaSi2マトリックス相中にSi相が微分散している組織が形成されていたことから,弾性的なLaSi2がSiからの応力を緩和し電極崩壊を抑制したと考えられる.しかしながら,充放電後ではLaSi2相が膨張したSi相に取り囲まれた組織が形成され両相の位置関係が逆転していた.一方で,MSix相がSiマトリックス相中に微分散している組織とした場合には,剛性的なMSixを用いるとサイクル性能が向上することを見出している.これらのことから,LaSi2/Si中に剛性的なMSixを予め混合しておくとサイクル性能がさらに改善できると着想し,剛性的なCrSi2および弾性的なLaSi2からなるCrSi2/LaSi2/Si電極の負極特性を評価したところ,予想通りCrSi2/SiやLaSi2/Si電極よりも長いサイクル寿命が得られた.
|
Research Products
(11 results)