2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel reactive-templated grain growth method using self-orientation
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19K05658
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
荒川 修一 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90278391)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反応性テンプレート粒成長法 / 結晶配向 / アパタイト型ランタンシリケート |
Outline of Annual Research Achievements |
反応性テンプレート粒成長法(RTGG法)は,テンプレート粒子を種結晶としたトポタクティック固相反応を用いるセラミックスの優れた結晶配向化手法の1つである.一方で,テンプレート粒子と目的物質の間の良好な格子整合性を前提としているため,適用できる物質が限られる.本研究は,この短所を克服するため,アパタイト型ランタンシリケート(LSO)をモデル物質として,自己配向現象を適用した新しいRTGG法を開拓することを目的とする.今年度は,主として以下の2項目について調べた. (1) LSO結晶のc軸高配向化を実現する諸因子の検討 反応性テンプレートを様々な結晶・非晶面を有する石英基板,組成補完粒子を基板上に化学溶液法で成膜した酸化ランタン薄膜に見立て,それらの熱処理で生じるLSO結晶のc軸配向性について,基礎的検討を行った.比較的c軸配向性の高いLSO結晶は,予備実験で明らかであったように石英ガラス基板上で得られたが,検討した2種類の結晶面を有する人工水晶基板上では,配向性は出現しなかった.結晶描画ソフトを用いた検討でも,現段階では,結晶配向の出現を期待できる結晶面は見出せていない.一方,熱処理時の雰囲気がLSO結晶の配向性に及ぼす影響も検討した結果,酸素気流中ではc軸配向性が抑制されることが明らかになった. (2) 薄膜の膜厚方向での組成分布 石英ガラス上に作製した厚さ約100 nmの配向薄膜の組成分布について,XPSおよびSIMSを用いた解析を実施した.La/Si比は膜厚方向でほぼ一定であり,目的のLSO相の組成と一致することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,結晶配向性に影響を及ぼす因子として,前駆体溶液の濃度や5種類程度の基板結晶面等の検討も予定していた.また,薄膜の酸化物イオン伝導性の測定を可能とするための電極形成法も検討を始める予定であった.しかし,作製時に透明であった薄膜の表面が,一定時間経過後に白濁化するなど,想定外の現象が現れたため,その解決に時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗遅れの主因であった薄膜の表面劣化現象について,大気中の水分または二酸化炭素との反応が原因であることが判明し,真空下で保管するなどして改善できるめどが立った.この工夫により,予定していた配向性発現因子,組織観察,酸化物イオン伝導性評価などの基礎的検討を進める.
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Causes of Carryover |
現在までの達成度の項目で述べたように,薄膜表面に生じた想定外の劣化現象のため進捗が遅れた.特に酸化物イオン伝導特性評価の検討着手に至らなかったこと,および極点測定など依頼分析が予定通りに進められなかったことが直接的な理由である.研究の迅速化を図り,発生した次年度使用額と合わせ,当初計画に基づいて使用する.
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Research Products
(1 results)