2020 Fiscal Year Research-status Report
Developement of photocatalyst working under visible light based on the elucidation of the photocatalytic properties to the overall H2O splitting
Project/Area Number |
19K05669
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
酒多 喜久 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (40211263)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 水分解反応 / 光触媒 / チタン酸ストロンチウム / 金属イオンドープ / フラックス法 / 単結晶微粒子 / 助触媒 / 高効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
H2O分解反応を太陽光照射下、実用的レベルで進行できる光触媒の開発とその要件の解明を目的として、Ti含有混合酸化物のH2O分解反応に対する光触媒特性の向上およびその要因の解明を検討した。先ず、前年の成果に基づき水素生成反応(HER)助触媒RhyCr2-yO3を担持したNaイオンドープSrTiO3(Na-SrTiO3)について、酸素生成反応(OER)助触媒であるCoOxを共担持すると、更に光触媒活性が向上し、併せて光触媒の失活が大幅に抑制された。ここで、最適条件で助触媒を担持したNa―SrTiO3のH2O分解反応に対する見かけの量子収率は30%を超え、50時間以上活性を維持し反応を進行させることが観測された。この光触媒のキャラクタリゼーション結果から、光触媒表面上でRhyCr2-yO3助触媒とCoOx助触媒が偏析していることが観測され、光触媒表面上のHERサイトとOERサイトの効率的な分離が、H2O分解反応に対する光触媒機能を向上させることを明らかとした。次に、フラックス法で調製したAlイオンドープSrTiO3の単結晶微粒子に光電着法を用いてHER助触媒Cr2O3/RhとOER助触媒CoOOHを共担持した光触媒がH2O分解反応に対して吸収できる光をほぼ100%利用して反応を進行できることを見出した。この時、HER、OER助触媒は光触媒の光励起により生じた電子と正孔が光触媒粒子内部に生じる電場によって異方的に移動することで、それぞれを別々の結晶表面に選択的に析出し、表面に露出した結晶面に依存してHERの反応場とOERの反応場が効率的に分離することで究極の量子収率を示す光触媒となることが判明した。これらの成果から、光触媒バルク内での光照射により生成した電子・正孔の効率的な分離と光触媒の表面制御と助触媒の精密な析出制御が光触媒特性の実用化レベルへの向上に必要であることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光触媒によるH2O分解反応においてその活性や特性を実用レベルまで向上させるための要件を解明し、実証した。具体的には、前年度解明した光触媒のバルクの修飾要件に加えバルクの状態制御に伴う表面状態の制御と有効な助触媒を適材適所に担持析出させることで、光触媒活性と光触媒の寿命を大幅に改善させることに成功した。本研究では、RhyCr2-yO3/Na-SrTiO3について、CoOx助触媒を適所に担持することにより、光触媒活性の向上に伴い光触媒寿命が大幅向上することや、フラックス法で調製したAl-SrTiO3の単結晶微粒子にHER助触媒Cr2O3/RhとOER助触媒CoOOHを光照射でAl-SrTiO3中に生成した電子・正孔が異方的に移動する現象を利用して別々の結晶面に担持した光触媒では、この反応を吸収できる光をほぼ100%利用して進行させることのできる光触媒となることを見出した。得られた成果は、光触媒によるH2O分解反応に対して実用化レベルの高い光触媒活性まで活性を向上させる主要な要件をSrTiO3を光触媒として実証するのみならず、不可能と考えられていた効率まで光触媒の効率を向上させることが可能となることを見出し、H2O分解反応に対するポテンシャルを持つ半導体光触媒について、その活性を実用化レベルに向上させるための重要な知見を与えるものであり、本研究で当初計画された光触媒の効率目標を卓越するものである。よって、研究は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度にあたり、これまでの研究成果に基づいて以下の項目について研究を遂行し、研究全体を総括する。 ・H2O分解反応に究極の効率を示す金属イオンドープSrTiO3光触媒の調製要件の検討:フラックス法で調製したAlイオンドープSrTiO3が助触媒を表面に効率的に析出させることでH2O分解反応に対する光触媒の量子効率がほぼ100%になることに基づき、各種金属イオンSrTiO3について同様な取り組みを行い、SrTiO3光触媒での高活性化実証を行う。 ・Ti混合酸化物光触媒のH2O分解反応に高活性化とその要因の解明:SrTiO3光触媒のH2O分解反応に対する高活性化に基づき、La2Ti2O7, Na2Ti6O13などの他のTi混合酸化物光触媒やNb混合酸化物光触媒のこの反応に対する高活性化をSrTiO3の例に基づいて検討し、酸化物光触媒において高活性化実現例を実証する。 ・金属イオンドープによる可視光応答化したSrTiO3光触媒や可視光応答性酸窒化物光触媒の光触媒活性向上の取り組み:Ta酸窒化物光触媒やRhとTaのような共ドーピングにより可視光応答化させたSrTiO3の調製法と助触媒制御による水分解関連反応の高活性化と可視光照射下でこの反応に対して高効率を示す光触媒の開発指針を検討する。 ・研究の総括:今研究課題の研究成果について総括を行い。今後の研究推進についての課題をまとめ、次のプロジェクトに関しての研究課題と方針をまとめる。
|
Research Products
(10 results)