2019 Fiscal Year Research-status Report
新奇二元機能電極触媒の性能向上と革新型一体化再生型燃料電池の実現
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19K05674
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
衣本 太郎 大分大学, 理工学部, 准教授 (90464429)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一体化再生型燃料電池 / 水素発生反応 / 酸素還元反応 / 二元機能電極触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画にしたがい、2019年度はチタン酸窒化物担持活性炭の水素発生反応(HER)と酸素還元反応(ORR)への反応活性点、反応メカニズム解析に着手した。 まず、チタン酸窒化物担持活性炭を、メーカーから提供を受けたヤシ殻粉末状活性炭に、フッ化チタン酸アンモニウム水溶液とホウ酸水溶液を用いて酸化チタン粒子を担持させ、アンモニア気流中で加熱処理する熱窒化処理により作製した。この際、作製条件を調整することで、チタン酸窒化物の担持率を酸化チタン換算で任意に調整できることを見出し、実際に15~34wt%の範囲に収まる4種類のチタン酸窒化物担持活性炭を作製できた。また、熱窒化処理温度についても検討を行った。X線回折測定とX線光電子分光測定結果から、チタン酸窒化物担持活性炭の作製を確認した。 水素発生反応への触媒活性について、試作済みの二室式三電極電気化学セルを直接、ガスクロマトグラフィーに接続する測定方法を用いて調べた。作製したチタン酸窒化物担持活性炭について測定を実施した結果、本課題以前の測定例よりも少ない水素生成量となった。この原因について、測定機器の不具合も含めて調査中である。 酸素還元反応の触媒活性を、回転電極法を用いて明らかにした。まず、本年度は作製できたチタン酸窒化物担持活性炭の中で最もチタン酸窒化物の担持率が多い34%品について調査した。酸素還元反応への過電圧の一例は0.57 V程度で、反応電子数は過電圧が大きくなるにつれて2から4へと大きくなることを明らかにした。酸素還元反応の場合、熱窒化処理は激しい方がよりよい活性を得られる傾向を得たので、来年度は担持率の変化と熱窒化処理条件の最適化を進め、研究計画通り4倍以上の活性をもつチタン酸窒化物担持活性炭の開発を目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに研究を進めてきた。しかし、水素発生反応の調査において、水素発生量が本課題以前の測定例より少なくなっており、この原因について、測定機器の不具合も含めて調査中である。現時点で、測定中に電気化学セルに圧力が掛かってしまうことやガスクロマトグラフィーの検出器周りの不具合の可能性も見つかっており、これらを対応中である。一方で、酸素還元反応の調査については、順調に計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
水素発生反応への研究について、現時点で機器の不具合が研究の推進の障壁となっており、それを解消する。一方、酸素還元反応の調査は問題無く進めることができているので、それを鋭意進めていく。
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Causes of Carryover |
理由:物品費として、超純水製造装置を研究開始時に購入する予定であったが、別予算で購入できたため、拠出の必要がなくなった。しかし、研究に必須のガスクロマトグラフィーに不具合が生じ、点検と修理が必要となったため、その費用に充当した。なお、この不具合の完全な解消には現時点で至っていないため、次年度も費用が発生する見込みである。また、旅費については学会発表分を見込んでいたが、本経費から支出する必要がなかったので、執行していない。人件費、その他についても執行する必要がなかった。 使用計画:研究に必須のガスクロマトグラフィーの不具合の完全解消に対して、多くの費用が見込まれる。他への使用についてはその費用との兼ね合いで、適宜執行する予定である。
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