2020 Fiscal Year Research-status Report
CCUのための高温CO2吸収材の実用化に関する研究
Project/Area Number |
19K05679
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中垣 隆雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30454127)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | カーボンリサイクル / 吸収速度 / ハニカム / 多孔質体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は国内でのCO2排出量の10%以上を占める製鉄所への適用を想定しシステムレベルで排出削減量について検討した.反応器は温度スイングが可能な2塔切り替え方式とし,高炉の炉頂ガスの燃焼ガスからCO2を分離して,その燃焼熱を再生塔の熱源として利用するシステムとした.温度スイングに伴う反応器の顕熱とCO2放出時のリチウムシリケート(Li4SiO4,LS)の吸熱を考慮すると最大で燃焼ガスの30%まで分離回収であることがわかった. リアクターレベルではこれまでの研究で球形,円筒ペレット形,ストロー形LSの充填層についてCO2吸収挙動の実験的取得と数値計算による模擬がなされているため,令和2年度はハニカム形LSについてCO2吸収・放出挙動を模擬可能な数値計算モデルを構築した.具体的には周期境界として切り出したハニカム中の単チャンネルを解析対象として,2次元モデルを作成した.支配方程式は化学種・質量・エネルギーの各保存式とし,生成/消滅項に化学反応速度を連成した.化学反応速度は一般的なアレニウス型の平衡反応式とした.また,式中の頻度因子と活性化エネルギーは令和1年度にTG-DTAでの吸収・放出試験に数値計算をフィッティングし決定した値を使用した.マテリアルレベルでは令和1年度にLSの吸収・放出を繰り返した際に高い吸収容量を持続するような初期空隙率と造孔剤の添加量を数値計算によって決定し,TG-DTAで円筒ペレット形LSの性能向上を確認した.今年度はLSをより大きな構造体であるハニカムに成形すべく,ストロー形LSを研究室で内製したことろ,円筒ペレット形と同様な吸収挙動であった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は650℃での試験を伴うが,昇温・安定に4時間かかり,それから2~3時間の本試験,クーリングとシャットダウンに1時間ほどかかるため,共通実験室の開放状態によって試験実施の可否が決まる。昨年度,新型コロナウイルスの影響で,上記試験のための入室が制限され,特に上半期は何もできなかった。そのため,シミュレーション研究を中心に実施したが,ハニカム構造の成形体の製作と実験的検証は2021年度に持ち越さざるを得なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)数値計算によるハニカム形状設計と製作 昨年度に構築した数値計算モデルを用いてハニカムの幾何形状をパラメータとして数値計算を実施し,要求性能を満足する形状を決定した.今後,決定した形状のハニカム形LSを外注する. (2)実験による性能評価と実機の性能予測 外注したハニカム形LSのCO2吸収・放出の非定常的かつ定量的な挙動を実験的に評価すると共に,前述の数値計算モデルの妥当性を確認する.実験と計算に差異がある場合には計算モデルを修正した後,実機スケールでの性能を予測する.吸収放出の繰り返しによる容量劣化がほとんどないレシピは既に確立済みであり,粉砕,湿式混合,ハニカム成形,焼成のプロセスごとに外注製作する準備を進めており,最終年度に遅れを挽回できると見込んでいる. (3)Aspen Plusによるプロセス評価 構築した計算モデルによって実機相当にスケールアップしたハニカム形LSの挙動をモデル化し,単位操作としてAspen Plusに組み込む.システム解析によって炭素循環製鉄によるCO2排出削減量を評価する.
|
Causes of Carryover |
高温試験研究のため,8時間ほどの連続した時間確保が必要である。共通実験室の開放状態によって実験可否が決まり,昨年度は新型コロナの影響で入構・入室が制限され,ハニカム成形体の試験の実施ができなかった。なお,シミュレーション研究については2021年度の内容を一部前倒しで実施済み。
|