2021 Fiscal Year Annual Research Report
自己触媒加水分解によるバイオマスからの糖製造技術の開発
Project/Area Number |
19K05684
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤本 真司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (40415740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオマス / セルロース / グルコース / 水熱処理 / 自己触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオマスを比較的低温度で空気酸化した後に水熱処理することで、バイオマスの構成成分の一つであるセルロースを加水分解する自己触媒加水分解法のメカニズム解明を検討している。これまでに実バイオマスサンプルとしてスギとユーカリを用いて検討を進めてきた。今年度は木質系以外のバイオマスとしてコーヒー粕をサンプルとして用いて、本手法への適応性を検討した。なお、コーヒー粕は一般的にはコーヒーを抽出した後に残る残渣で、大部分は産業廃棄物として処理されており、その有効利用が求められている有望な未利用バイオマスの一つである。 まず、コーヒー粕中の構成糖を調べた。その結果、グルコースは109mg/g-コーヒー粕と木質の約500mg/g-バイオマスと比べて1/5程度しか存在しないことが確認された。一方、マンノースは261gm/g-コーヒー粕と木質よりも多いことがわかった。 次に、スギとユーカリで最適な実験条件であった200℃、3時間で空気酸化を行い、サンプルの重量変化を測定した。その結果、約15%の重量減少を確認した。 その後、Boehm滴定法で酸性官能基量を定量した。その結果、200℃、3時間の空気酸化により、ヒドロキシ基量は未処理の405meq/gから823meq/g、ラクトン基量は261meq/gから354meq/gと増加したが、カルボキシ基量は245meq/gから207meq/gに減少した。全酸性官能基量は未処理のコーヒー粕の913meq/gから、空気酸化サンプルが1386meq/gに増加することを確認した。コーヒー粕自体のセルロース量は木質系バイオマスと比べると小さいが、空気酸化により酸性官能基量が増加したことから、触媒機能は有していると考えられる。
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