2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K05685
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 真理 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (20416332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 敦隆 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (40826161)
高橋 雅也 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究フェロー (90416363)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シリコン / 全固体電池 / 負極 / 多孔質 / ファイバー / 硫化物系固体電解質 |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン構造体が連続的な形態となるようエレクトロスピニング法と焼成により直径1μm以下のシリカファイバーを作製し、その形状を保持したままマグネシオ熱還元(SiO2 + 2Mg → Si + 2MgO)を行い、多孔質シリコンファイバーを形成した。マグネシオ熱還元におけるモル比([Mg]/[SiO2]=X, X=2.5, 5.0, 7.5)を変化させ、Siへの還元率の向上を図った。得られた多孔質シリコンファイバーを負極活物質に用いた硫化物系全固体電池を作製し、インピーダンス測定、及び充放電測定により評価した。 多孔質シリコンファイバーX=5.0の比表面積・細孔分布測定より、1点法全細孔容積は0.51 cm3 g-1であった。Li1.7Siの理論容量(1635 mAh g-1) で体積変化が2.1倍となり、この体積変化を賄うことができる細孔を有することが示された。TG/DTAによりシリコンの酸化による重量増加から算出したシリコン含有量はX=2.5, 5.0, 7.5においてそれぞれ26, 61, 58mol%であった。初回放電容量は、X=2.5(530 mAh g-1)と比べ、X=5.0(1729 mAh g-1)、X=7.5(1716 mAh g-1)と増加した。これは、SiOx含有率が減少したことにより副反応(SiOx + yLi → LiySiOx)が減少したことを示す。ナノファイバー(X=5.0)の粉砕試料では初回放電容量は853 mAh g-1に低下した。このことから、粉砕によりイオン・電子伝導パスの接続していない孤立粒子の存在が示唆された。容量維持率は、中実マイクロ粒子(16%)と比べX=5.0(83%)と向上した。以上よりファイバー化と多孔質化により固体電解質や導電助剤との間に良好な界面が維持されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エレクトロスピニング法、及びマグネシオ熱還元法で作製した多孔質シリコンファイバーを全固体電池の負極材料に使用し、高いサイクル安定性を得た。また、マグネシオ熱還元法における条件検討によりSiへの還元率を向上させ、充放電容量を向上させた。多孔質化とファイバー化による高いサイクル安定性と充放電容量を実現したことから、目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
シリコンの多孔質化により体積変化を緩衝できることを見出したが、比表面積が高いため、塩酸処理中に再酸化され金属シリコンの含有率が減少する。そこで、負極としてリチウムドープしたLixSi合金を用い、放電で脱合金化して系中で多孔質シリコンにする新規方法を検討する。LixSi合金粒子の表面をイオン伝導性のシェルで被覆することで、脱合金化に伴う収縮を防止するとともに、耐溶剤性を向上させスラリー化を可能とする。得られたLixSi合金粒子は硫化物系全固体電池の負極として応用し、充放電特性評価、インピーダンス測定、断面SEM観察、充放電中の圧力計測等を行い、評価する。
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Causes of Carryover |
本年度に合成や評価で使用した機器等は既存設備等を利用できたため、未使用額が出た。 次年度に他補助金との合算により交流インピーダンス測定装置の購入を計画している。
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