2021 Fiscal Year Research-status Report
制御分子を触媒とするマルチターンオーバー型真核系人工リボスイッチの開発
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19K05697
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小川 敦司 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (30442940)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リボスイッチ / 発現制御 / アプタマー / リボザイム / アプタザイム |
Outline of Annual Research Achievements |
『リボスイッチ』は、特定の分子に応答して周囲の遺伝子発現を制御するcis作用型RNAである。現在までに天然において数種類のリボスイッチが同定されてきたが、「特定の分子に特異的に結合するRNA(アプタマー)」をmRNAに上手く導入すれば、人工的にも構築することができる。しかし、一般的に人工リボスイッチ(特に真核系人工リボスイッチ)の制御効率は悪く、その改善が望まれている。そこで本研究では、制御分子を触媒的に再利用することで効率の良い遺伝子発現制御を可能とする『ターンオーバー型真核系人工リボスイッチ』の開発を目的とした。 昨年度は、一昨年度の実施状況報告書に記載した通り、初年度に最適化した「テオフィリン応答性アプタザイム」と一昨年度に開発した「nDNA応答性リボスイッチ」を組み合わせることで、高効率な「ターンオーバー型真核系人工リボスイッチ」の構築を試みた。その結果、制御分子非依存性のプロトタイプの構築には成功したものの、RNA濃度がボトルネックとなり全体的な翻訳効率が落ちてしまった。 そこで、人工リボスイッチの性能を十分に引き出すために発現システムの改良に挑み、真核発現系を基盤とした高効率遺伝子発現が可能な「転写-翻訳共役系」の開発に成功した(発現効率は従来の約9倍)。また、nDNA結合アプタマーを合理的に改変することで、nDNA応答性リボスイッチの制御効率を向上させることに成功した(従来の約2倍)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ターンオーバー型リボスイッチの構築には至らなかったが、高効率な真核遺伝子発現系の開発やnDNA応答性リボスイッチの制御効率向上に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に開発した「真核発現系を基盤とした転写-翻訳共役系」を用いて、「ターンオーバー型真核系人工リボスイッチ」の構築を目指す。また、制御分子を"疑似"触媒的に利用可能な「疑似ターンオーバー型真核系人工リボスイッチ」の開発にも取り組みたい。
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Causes of Carryover |
研究期間を1年間延長し、「ターンオーバー型 or 疑似ターンオーバー型真核系人工リボスイッチの開発」に挑むため。繰越し額は物品費やその他経費として本年度に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)