2023 Fiscal Year Annual Research Report
Positive charge-based electrophoresis for protein complexes
Project/Area Number |
19K05704
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
平野 真 安田女子大学, 薬学部, 講師 (60514172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 正電荷化合物 / 電気泳動 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では金属イオン要求性タンパク質複合体の分離に資する電気泳動法Reverse Native (RN-)PAGEの開発を行った。生体内では、酵素などのタンパク質は他のタンパク質等と複合体を形成することで機能が調節されている。そのため、生命現象を統合的に理解する上で、タンパク質複合体の情報は不可欠である。現在、複合体を簡便に分離・分析する手法としてBlue Native (BN-)PAGEという電気泳動法が用いられている。しかし、この方法では前処理で2価陽イオンのキレート剤を添加するため、金属イオンが除かれ複合体は崩壊する。BN-PAGEではタンパク質染色試薬として使用されるクマシーブリアントブルー (CBB) G250を チャージシフト分子として、タンパク質複合体に結合させ、複合体に負電荷を付与し陽極への泳動を可能にしている。一方、RN-PAGEではタンパク質複合体の正味の電荷を正とし陰極側に泳動する。BN-PAGEの成功から、CBB G250は絶妙のバランスで複合体に結合すると言える。そのため、RN-PAGEにおいて、複合体に正電荷を付与する分子はCBB G250の構造を基盤に合成することとした。しかし、合成したCBB G250類似化合物は水溶性が乏しかったため、水溶性を高めたパラローズアニリン誘導体を新規化合物として9種類合成した。合成した誘導体が中性付近で正電荷を帯びることをろ紙電気泳動で示した。RN-PAGEにおいて、チャージシフト分子になり得るか検証するため、マウス肝臓から得た非イオン性界面活性剤抽出物と混和し、RN-PAGEを行ったところ、3種の化合物でタンパク質を電気泳動できた。加えて、レクチンとレクチンが認識する糖鎖を有する糖タンパク質をモデル複合体としてRN-PAGEに供したところ、比較的弱い相互作用の複合体も電気泳動できることを示した。
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