2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of synthetic methodology and functions cyclic oligosaccharides
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19K05714
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
野上 敏材 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60402963)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環状オリゴ糖 / グリコシル化反応 / 電解合成 / チオグリコシド |
Outline of Annual Research Achievements |
環状オリゴグルコサミン合成においては、単糖を用いた環状オリゴ糖合成の検討を開始し、環状2糖の生成を確認した。環状3糖以上も質量分析では確認されるものの、単離には至っておらず、環化(分子内グリコシル化反応)と糖鎖の伸長(分子間グリコシル化反応)とをいかに制御するかという課題が突き付けられた。 また、環状βグルカン12糖合成において以下のような進展があった。これまでに合成を達成していた環状12糖の半分の構造である6糖は合成法が煩雑でスケールアップが難しい状況であった。そこで、これまでとは異なる6糖の構造を標的として合成の検討を行った。その結果、3種類の2糖ビルディングブロックからワンポットで望みの6糖へと変換出来ることを見出した。反応性の低い3位の水酸基で2糖どうしのグリコシル化反応を行ってあらかじめ4糖を合成した上で、4糖と2糖を6位の水酸基で結合させる点が鍵となっている。このような検討をトライアンドエラーで行うことは、大変な労力と時間を要するため、計算化学的手法なども用いてより合理的に逆合成解析することが今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した通り、環状オリゴグルコサミン合成、環状βグルカン12糖合成のいずれにおいても解決すべき大きな課題が見えている。しかしながら、このような課題の顕在化こそが、研究の進捗を意味していると前向きにとらえている。研究意欲の旺盛な学生さんにも恵まれ、今後の進展を楽しみにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの検討項目について、以下のような推進方策考えている。 1)分子内電解グリコシル化反応の条件最適化 現在用いている保護基では分子内グリコシル化反応は効率的に進行する。その一方で、分子間グリコシル化反応で単糖同士を効率的につなげて、望みの長さで環化するといったことはほとんど出来ていない。まずは分子内反応と分子間反応を制御し、一定の長さになったところで糖鎖伸長を止めるといったことに挑戦したい。 2)環状βグルカン12糖の合成 スケールアップ合成が可能な6糖の構造を見出すことが出来たので、まずは6糖の大量合成を行う。その上で、6糖を二量化するための電解グリコシル化反応条件の最適化を行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で当初予定されていた2020年1月以降の学会が全て中止となったため。2020年4月以降も学会開催の目途がたっていないため、旅費として計上していた予算は博士後期課程学生のリサーチアシスタント謝金とする予定である。
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