2019 Fiscal Year Research-status Report
アムホテリシンB活性増強作用を持つ環状ペプチドの創薬研究
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19K05719
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
長井 賢一郎 北里大学, 薬学部, 助教 (30321649)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アムホテリシンB活性増強作用 / 環状ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はネクトリアチドの量的供給も視野に入れ、液相合成法によるネクトリアチドの合成を行った。既に確立した固相合成を用いたルートを参考にアラニンメチルエステル塩酸塩より9ステップ総収率46%でネクトリアチドを合成した。続いてネクトリアチドとその中間体のAMPB活性増強作用を評価した。研究協力者はCLSI M27-A3法およびM-38-A2法に準じて、微量液体希釈法により酵母Candida albicans ATCC90029株に対するMICを測定し、またAMPB活性増強作用についてはAMPBと化合物を併用した時の真菌に対するMIC値を測定した。ネクトリアチドは64 μg/mLの濃度でもC. albicansに対して抗真菌活性を示さず、一方でネクトリアチドは32 μg/mLの濃度でAMPBのMIC値を1.0 μg/mLから0.031 μg/mLまで低下させAmB活性を32倍増強した。中間体の活性評価より、C末、N末、チロシンの水酸基が保護された鎖状テトラペプチドが2.0 μg/mLの濃度でAMPBのMIC値を1.0 μg/mLから0.031 μg/mLまで低下させAMPB活性を32倍増強し、ネクトリアチドと比較して16倍低濃度の併用で活性を示すことを見出した。さらに1) 環状構造は活性発現に必須ではない、2) 最適なアミノ酸残基数は4個、3) 鎖状ペプチドのC末、N末、チロシンの水酸基への官能基の導入は活性に大きく影響しないことが判明した。2019年度の成果において、ネクトリアチドより高活性な中間体を見出したことは、新たな高活性な誘導体の創製に繋がる重要な知見である。さらに高活性な鎖状テトラペプチドの構造は、標的分子の解明のためのプローブ分子を設計するための手がかりとなると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、ネクトリアチド誘導体の合成と構造活性相関を明らかにすることを目的に研究を進めた。初めに大量合成可能なネクトリアチドの液相合成法を確立し、研究協力者による合成中間体のAMPB活性増強作用の評価により、鎖状化合物の構造活性相関を明らかにできた。この過程で見出された高活性な鎖状テトラペプチドの構造を参考に、2020年度以降計画していたプローブ分子の設計が可能となった。 一方で2-クロロトリチルクロリドレジンを固相担体に用いたネクトリアチド誘導体の合成も同時に進行している。この手法は既に確立していたが、合成過程で生じるマイナー成分の分離が新たな問題となった。検討した結果、本年度購入したリサイクルユニットをHPLCに接続し分離能力を向上させること、ならびに分取HPLCカラムの種類を使い分けることで高純度化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、研究計画に従いネクトリアチド誘導体の合成と構造活性相関について引き続き研究を進める。環状誘導体の合成はマイナー成分の問題から遅れていたが、リサイクルユニットの導入と適切なHPLCカラムの選択により問題を解決できた。今後は特にアミノ酸残基を変換した誘導体を固相担体を用いて合成し、AMPB活性増強作用を評価する。 環状テトラペプチドであるネクトリアチドとは異なる鎖状テトラペプチドが低濃度でAMPB活性増強作用を示すことが明らかとなった。この構造を参考に、プローブ分子の設計と合成を検討し、標的分子の解明に取り組む。
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Research Products
(2 results)