2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K05720
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
上村 大輔 神奈川大学, 公私立大学の部局等, 教授
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Project Period (FY) |
2019 – 2020
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Keywords | 生物オリジン / オカダ酸 / ハリコンドリンB / 免疫染色 / 天然物 / フローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
クロイソカイメン破砕液を対象に抗オカダ酸抗体による免疫染色を行い、フローサイトメトリー(FCM)で蛍光を示すセルを回収した。蛍光顕微鏡観察で2種類の微生物(真菌及び複数バクテリアによるバイオマット)を確認した。固定せずに免疫染色する手法を開発し、真菌Aの単離・培養に成功した。真菌培養液抽出物をTLC展開後、抗オカダ酸抗体でプレートごと免疫染色した所、複数バンドを認めたが、オカダ酸は確認できず、真菌Aの染色は交差性によると判明した。また真菌A抽出物からは新規化合物を単離・構造決定した。 一方、FCMの2つの隣り合う検出器の数値をプロットして、蛍光特有の波長を持つ群ごとに分析した結果、蛍光パターンの異なる2群を確認した。エタノール抽出物をtof-MS解析し、1群にオカダ酸のピークを認めた。次にゲノムを抽出し次世代シーケンスで解析し、オカダ酸を検出した微生物群画分を大きさと蛍光強度を基準に4分割した。蛍光強度が高く分子直径の小さい画分と、蛍光強度が弱く分子直径の大きな画分それぞれからゲノムを抽出し菌相を比較した結果、後者は多様な微生物から成り、最大グループは未同定生物由来遺伝子(55%)で、真菌由来遺伝子は2%だった。前者は未同定微生物由来遺伝子が80%を占め、真菌由来遺伝子は0.02%以下であり、この未同定微生物がオカダ酸の生物オリジンと考えられる。 ユニバーサルプライマーで16SrRNAのクローニングを行った所、γプロテオバクテリアStenotrophomonas属と相同性を示す新規微生物が圧倒的優占種であり、18SrRNAの増幅は確認できなかった。この新規プロテオバクテリアが上記未同定微生物であり、オカダ酸の生物オリジンである可能性を示している。 ハリコンドリンの生物オリジン探索では、ノルハリコンドリンAをクロイソカイメン抽出物より精製し、カルボキシル基にスペーサーを付加した。
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Research Products
(4 results)