2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of strategy for rational design of optimized RNA conformational switch
Project/Area Number |
19K05723
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
遠藤 玉樹 甲南大学, 先端生命工学研究所, 准教授 (90550236)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | RNA / 構造変化 / バイオセンサー / セレクション / 合理設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞内で効率良く機能するRNA構造スイッチを合理的に設計する技術基盤を確立する。 2020年度は、細胞内で複数種類の標的分子を同時かつ独立に検出できるRNA構造スイッチを構築していくことを目指し、色調の異なる蛍光性小分子に対するlight-upアプタマー(小分子に結合することでその蛍光を増強するRNA)を構築することを進めた。これまでに確立したRNA配列の最適化技術を用いて、三種類の蛍光性小分子を混合した溶液の中でlight-upアプタマーの選別を行った結果、それぞれの小分子を直交的に見分けて結合できるlight-upアプタマーを獲得することに成功した。現在、獲得されたlight-upアプタマーをRNA構造スイッチに拡張し、細胞内での機能を評価している。また、核酸構造に結合することで蛍光シグナルの増強を示す小分子の新規合成も試みた。グアニン四重らせん構造に結合するチオフラビンTの誘導体を合成し、四重らせん構造に対する特異性と、結合した際の蛍光シグナルの変動を解析した(Molecules, 25, 4936 (2020))。 さらに2020年度は、細胞内で効率的に機能する核酸構造スイッチの合理的な設計を行う際に重要となる、細胞内環境を考慮した系における、最近接塩基対の形成に伴う熱安定性パラメータをデータベース化することでも成果を得た(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 117, 14194 (2020)、Nucleic Acids Res., 47, 12042 (2020))。このデータベースは、セレクションによって得られるRNA構造スイッチの構造と熱安定性予測を可能にし、合目的的かつ合理的なRNA構造スイッチの配列設計に活用することができる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、一時的に実験を伴う研究を停滞せざるを得ない状況が続いた。そのため、色調の異なるlight-upアプタマーを用いた研究課題については、現在、細胞内でのその機能を実証する実験を進めているところである。一方で、今後の研究課題として挙げられるRNA構造スイッチの合理的な設計技術の確立に向け、細胞内の分子環境下での核酸構造の熱安定性予測を可能にするデータベースの構築で成果を上げることができている。そのため、本研究課題は、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、細胞内で効率良く機能するRNA構造スイッチを合理的に設計する技術基盤を確立することを目標に、これまでに得られている複数種類のlight-upアプタマーを用いて、複数種類の標的分子を同時かつ独立に検出できるRNA構造スイッチを核酸構造の熱安定性などにもとづき設計・構築し、その機能を細胞内で実証する。さらに、細胞内での代謝産物の動態をリアルタイムに解析する技術へRNA構造スイッチを活用する。設計・構築したRNA構造スイッチをプラスミドベクターとして細胞内に導入し、特定の代謝経路に存在する複数種類の代謝産物の濃度変動を同一細胞内でイメージングすることを試みる。特に、細胞に対する外部刺激(薬剤の添加など)や細胞状態の変化(細胞分化など)に応答した代謝反応の変動を解析することを目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる影響により、2020年4月からの約3カ月間、研究所内への立ち入りが制限され、実験を停止せざるを得ない状況にあった。その後も、研究所内の立ち入り人数を減少させての研究活動が続いているため、計画していた実験を十分に行うことができず、余剰の消耗品費が生じた。また、学会等での成果発表のために計画していた出張旅費についても、学会が中止やオンライン開催になるなどして余剰分が生じた。 これまでの研究の推進により、実験条件が整っている。次年度、研究補助業務を担当する人員を短期的に雇用し、研究課題の達成に向けて実験を強力に推し進める予定としている。そのため、2020年度の余剰研究費も含め、研究期間全体で当初に予定された研究費を必要とする。
|