2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of algal morphogen biosynthetic machinery from an epiphytic marine bacterium and its heterologous reconstitution.
Project/Area Number |
19K05724
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
兼目 裕充 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (10399438)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サルーシン / 藻類共生細菌 / テルペノイド / 生合成 / 変異株 / 抗生物質 / ヒトエグサ / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
海産藻類の葉状体分化を極微量で誘導するメロセスキテルペノイドのサルーシンが、分化誘導の必須成分として藻類共生細菌より見出されているが、この共生細菌においては、なぜ、どのようにサルーシンを生合成しているのかについては全く解っていない。そこで、本研究では、生産細菌が持つ全てのサルーシン生合成酵素遺伝子類を明らかにすると共に、これらの遺伝子の発現制御機構を解明したい。また、生産細菌自体のサルーシン生産能は非常に低いことから、生合成経路を再構築することによって、サルーシンの効率的な大量生産システムの確立へと発展させたい。本年度は、数種の抗生物質を用いて前年度までに得た抗生物質耐性変異株からスクリーニングで得たサルーシン高生産性変異株について、複数の高生産性変異株を対象として、次世代シーケンサーによるSNP・indel解析を行った。その結果、高生産性変異株の変異部位は、他の細菌類において二次代謝産物の高生産性を示す抗生物質耐性株の変異部位と共通する2種類の遺伝子の変異に集約されることを明らかにできた。また、サルーシン高生産性変異株について、次世代シーケンサーによる発現遺伝子量解析を行ったところ、サルーシン生合成酵素遺伝子候補を含めた一次・二次代謝系酵素遺伝子全般の発現上昇が確認された。一方、サルーシン生合成に関わる酵素遺伝子候補の絞り込みを企図して、サルーシンやその生合成中間体を生産すると報告のある他の細菌類との比較ゲノム解析を行ったところ、進化系統樹上の複数のクレードに跨るこれらの細菌類も、本細菌と同様に細菌類の二次代謝遺伝子として一般的な生合成遺伝子クラスター構造を取っていないことが示唆された。サルーシン精製方法の検討では、吸着能の飽和が起こっている可能性が見られたため、回収効率の高い吸着樹脂の評価検討を行ったところ、同体積で5倍の吸着回収を見込める樹脂を明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では生合成酵素遺伝子クラスターの個々の候補遺伝子のノックアウト株の作出と、これらの逐次培養によるサルーシン生産性の有無の検証を企図していたが、細菌で一般的である明瞭な遺伝子クラスターを本細菌は示していなかったことから、昨年度までに平行して進めていた抗生物質耐性変異株から数種のサルーシン高生産性変異株を取得し、本年度はこれらの次世代シーケンサーによるSNP・indel解析を行った。サルーシン高生産性変異株について、次世代シーケンサーによる発現遺伝子量解析を行ったところ、サルーシン生合成酵素遺伝子候補を含めた一次・二次代謝系酵素遺伝子全般の発現上昇が確認された。一方、サルーシンやその生合成中間体を生産すると報告のある他の細菌類との比較ゲノム解析を行ったところ、これらの細菌類も、本細菌と同様に細菌類の二次代謝遺伝子として一般的な生合成遺伝子クラスター構造を取っていないことが示唆された。これらの結果はサルーシン生合成酵素遺伝子候補の明確な絞り込みに直接寄与するものとはならなかったが、サルーシン生合成酵素遺伝子の発現制御が単一の協調的発現によらない一次代謝的なものであることが示唆された。 一方、細菌培養液からの分離・精製方法については、昨年度までに簡便かつ堅牢な定量分析前処理方法を確立するに至ったが、大量抽出時に吸着能の飽和に起因する必要樹脂量の増大を改善するため、吸着樹脂の評価検討を行った。コロナウイルス蔓延に伴い、主要培地成分の供給が滞ったことから、少量培養での検討を行い抽出方法を改善することができたが、大量培養によるサルーシンの供給検討は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
サルーシン生合成候補酵素遺伝子について、大腸菌や酵母等の異種細胞を用いた機能解析、および、遺伝子ノックアウト株の作出による機能解析を推進する。 また、主要培地成分の供給が戻りつつあることから、大量培養によるサルーシンの供給検討を進める。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延による影響により、培地成分その他の試薬類が供給購入できなかったため次年度使用額が生じた。次年度はこれらを購入して、付随する実験研究を推進する。
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