2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of new principles for gene regulation by RNA editing
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19K05725
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
福田 将虎 福岡大学, 理学部, 准教授 (90526691)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RNA編集 / ADAR / ガイドRNA / グアニン4重鎖構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、A-to-I RNA編集(アデノシンをイノシンに置換)による新たな遺伝子制御原理を探索することを目的とし、(研究項目1)RNA編集によるタンパク質翻訳に影響を与えるRNA構造体の誘起、並びに(研究項目2)RNA編集による5’非翻訳領域におけるタンパク質翻訳領域の生成に関する研究を行なっている。令和元年度(平成31年度)は、研究項目1について重点的に研究を行い、以下の研究成果を得た。まず、A-to-I RNA編集によりイノシンを含むGq(ICGq)構造を誘起するRNA配列(IcGq形成コア配列)を設計した。IcGqコア配列を含む短鎖RNAオリゴヌクレオチドを合成し、紫外吸収スペクトル及びCDスペクトルの熱変性測定により、A-to-I RNA編集依存的にIcGq構造が誘起されることを確認した。続いて、上記のICGq形成コア配列とルシフェラーゼ(Luc)mRNAを連結し、レポーターmRNA(IcGqレポーターmRNA)を合成した。IcGqレポーターmRNAは、ICGq形成がタンパク質翻訳に及ぼす影響をLucの発光強度変化で解析することが可能である。合成したIcGqレポーターの標的編集部位は、ADARタンパク質とガイドRNAを用いたRNA編集技術により、高効率に編集できることを明らかにした。さらに、逆転写反応を利用したRNA構造解析実験(RTストップアッセイ)により、設計通りの位置でRNA編集依存的な構造体が形成されることを確認した。上記の研究成果より、A-to-I RNA編集によるIcGq構造形成を介した翻訳制御を解析するための準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(令和元年度)における、研究計画にあげた研究項目1及び研究項目2についての進捗状況は以下の通りである。 (研究項目1)A-to-I RNA編集によりICGq構造を誘起するRNA配列(ICGq形成コア配列)を構築した。また、ICGq形成コア配列を導入したレポーターRNAも既に取得している。さらに、in vitroにおけるICGq構造形成の確認実験についても、当初計画した予定通りに進展している。 (研究項目2)A-to-I RNA編集による翻訳領域の生成と下流の遺伝子発現に与える影響を解析するためのレポーターRNAを構築した。具体的には、NanoLuc (Nluc)とRenilla Luciferase (RLuc)を連結したレポーターRNAを設計・合成した。構築したレポーターRNAを用いた評価実験は現在進行中である。 上記の研究進捗状況から、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目1については、令和元年度の研究で得られたICGqレポーターRNAを用いて、ICGq形成による翻訳阻害をin vitro翻訳反応とルシフェラーゼアッセイを組み合わせた実験により評価する。in vitroにおいて翻訳阻害が確認された配列については、これまでに樹立しているADAR発現細胞を用いて、細胞内でのICGq形成による翻訳阻害能を評価する。また、データベースを利用して、生物内在のRNAからICGq構造を形成する可能性のある配列を探索する。得られる配列情報をもとに新たなIcGq形成配列の検討を行う。 研究項目1については、令和元年度の研究で得られたICGqレポーターRNAを用いて、ICGq形成による翻訳阻害をin vitro翻訳反応とルシフェラーゼアッセイを組み合わせた実験により評価する。in vitroにおいて翻訳阻害が確認された配列については、これまでに樹立しているADAR発現細胞を用いて、細胞内でのICGq形成による翻訳阻害能を評価する。また、データベースを利用して、生物内在のRNAからICGq構造を形成する可能性のある配列を探索する。得られる配列情報をもとに新たなIcGq形成配列の検討を行う。 研究項目2については、A-to-I RNA編集によるAUA → AUI 変換により、5’非翻訳領域に翻訳領域を生成できるかどうかを検証する。まず、初年度に構築したレポーターRNAを用いて、RNA編集技術によりAUA配列をAUIに編集し、in vitro翻訳反応とルシフェラーゼレポーターアッセイによりNlucの発現を確認する。また、Rlucの発光量をRNA編集前後で比較し、新たに生成した翻訳領域が下流の発現に与える影響を評価する。以上の実験から、A-to-I RNA編集による翻訳領域の生成と下流の遺伝子発現に与える影響を解析する。
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Research Products
(9 results)