2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fluorescent probes highly sensitive to membrane potential and their design principles
Project/Area Number |
19K05729
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
大庭 亨 宇都宮大学, 工学部, 教授 (30291793)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 蛍光プローブ / 膜電位 / 神経細胞 / 超分子 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、精神疾患や認知症の克服に資するため、神経回路研究用の高感度な低分子プローブを開発することを目的とした。本研究の膜電位感受性蛍光色素(VSD)の開発目標は、1 mVあたり1%以上の蛍光強度変化を与えるものである。主として、電位検出を行う分子ワイヤー部位の分子構造要件を、置換基の種類や位置などを一連に変えて検討してきた。今年度は特に、新しい電位応答性評価法を見出したことが大きな進展であった。VSDの開発では、試料分子が実際に電位検出ができているかどうかを評価する必要がある。これまでは、神経細胞を用いてパッチクランプを併用しながらライブイメージングする方法をとってきたが、この方法では強い励起光を用いるせいでVSDの褪色が速く、十分な評価ができなかった。より簡便な方法としてリポソームモデル系をも利用してきたが、この方法でもシングルラメラリポソームとマルチラメラリポソームを区別できないなどの理由で測定値にばらつきがあった。電気化学的計測法も報告されているが、二分子膜を保持する特殊なMEMSが必要で実現できなかった。そこで新しい方法を探索していたが、ミセルのdipole potentialを利用した簡易的な電位応答試験法を見出すことができた。この実験系で利用する状態変化は可逆であり、また弱い励起光でも測定できるので、光安定性が十分でない色素であっても電位応答性を評価できるようになった。さらに、色素の細胞膜局在性を高めるためのリンカー分子の開発も進展し、新規なボロン酸含有アジリン類を開発して、クロスカップリングに利用できることを示したほか、新規なホウ素化合物も見出した(投稿中)。今後は、これらのパーツを組み合わせて効果的な色素を合成するとともに、光安定性の確保のために積極的に消光過程を組み合わせる分子設計を検討していきたい。
|
Research Products
(8 results)