2019 Fiscal Year Research-status Report
Creation of new agents for BNCT that enable to measure boron concentration at tumor site
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19K05735
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加来田 博貴 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80362961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱野 毅 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高度被ばく医療センター 放射線緊急事態対応部, 部長(定常) (00425662)
小川原 亮 京都大学, 化学研究所, 助教 (00807729)
佐々木 崇了 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10461253)
井川 和代 岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (90512111)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ホウ素中性子補足療法 / BNCT / 分子設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ホウ素中性子補足療法(boron neutron capturing therapy、以後BNCTとする)の課題解決と利用促進に寄与すべく、腫瘍部位におけるホウ素濃度の測定が可能な新規BNCT用薬剤を創出し、BNCT用薬剤開発のパラダイムシフトを目指すものである。BNCTは、ホウ素の同位体10Bと熱中性子線との核反応によって生じるα線(ヘリウム核)とリチウムイオンによって腫瘍組織の消失を狙う治療法である。この治療にはホウ素薬剤が必須であり、かつ腫瘍部位における所望のホウ素(10B)濃度(腫瘍組織重量あたりのホウ素(10B)重量は30 ppm以上)が要求される。しかしながら、現在臨床研究されているBNCT用薬剤は、腫瘍部位における10B濃度を求めることができない。本研究では、この課題解決を目的に新規薬剤候補物質の創出を目指している。令和元年度は、上記目的を達成しうる腫瘍細胞特異的取り込み能を有する新規化合物の基本骨格として、蛍光ならびX線CTのデュアルモダリティにて画像化し、かつそのシグナル値に基づきホウ素濃度測定を可能とする新規化合物の創出、ならびにその評価法を検討した。研究開始当初は、ペプチド鎖からなる構造を基本骨格とする化合物を分子設計したが、合成ステップ数ならびに、化合物の溶解性を問題視し、非ペプチド構造からなる化合物の創出へ切り替えた。また、放射線医学総合研究所にて中性子線照射条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた分子設計を改め、本研究の目的に沿った新規医薬候補化合物の基本骨格の設定が行えたこと、さらにその物性についてもデータを得ることで、細胞への取り込みについての評価法を見出した。さらに、化合物創出に関して当初計画よりも進展があったことから、放射線医学総合研究所での中性子線実験に関する条件検討を、当初予定より前倒して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
高いホウ素導入が認められた化合物について、溶解度測定、細胞を用いた毒性試験、マウスを用いた急性単回毒性試験を実施し、マウスへの投与量を決定する。マウスメラノーマ細胞(B16F10)をC57Bl6マウスに静脈投与し、担がんマウス(肺転移モデル)を作成し、担がんマウスに、創出化合物を求めた投与量で静脈投与し、組織当たりの化合物濃度を算出する。さらに、担がんマウスに、創出化合物を 求めた投与量で静脈投与し、投与後一定時間ごとに サンプリングして、がん組織/正常組織比(T/N)比 > 3以上であることを確認する。当初、放医研での中性子線照射実験を計画していたが、機器不良のため実験場所の変更を余儀なくされており、現在その実施場所を検討中である。
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせでの執行額が予定より少なく済んだための残額を生じた。なお、令和2年度以後の中性子実験を行う施設について、変更が必要な可能性が高いことから、残額分はその執行に利用予定である。
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