2021 Fiscal Year Annual Research Report
中分子創薬を企図した新規プロテアソーム阻害剤と薬物送達法の開発
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19K05739
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
長谷川 慎 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (10367899)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子進化工学 / プロテアソーム阻害剤 / 中分子医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロテアソームの新しい制御機構を明らかにするために、ランダムペプチドライブラリーからプロテアソームに直接的な親和性を有するアミノ酸配列の探索を行った。ここで採用したcDNAディスプレイ法は、人工分子進化法による機能性ペプチドの創出技術である。これは、mRNAの3’末端に結合したチロシル tRNA のアナログであるピューロマイシンを利用し、翻訳産物とそれの情報をコードするmRNAの複合体が作成することが基本原理である。ランダムDNA配列プールを鋳型として、無細胞翻訳系によりペプチド-cDNA複合体を作り出し、プロテアソームに対して親和性を持つ分子を分離し、その後、このペプチドに付随したDNA配列をPCR増幅した。これを1サイクルとして、複数回のサイクル繰り返しにより特異的で親和性の強い10アミノ酸残基の収束配列を得た。これらペプチドは、プロテアソームに対し非拮抗的に阻害作用を示した。その作用には疎水性アミノ酸を含む7残基の配列が重要であることを構造活性相関の検証により明らかにした。さらに、このペプチド配列が、プロテアソームの基質認識メカニズムとどのように関係するか検証し、このペプチドが溶液条件に依存してプロテアソーム活性を阻害または促進するといった相反する二面性を明らかにした。従来のプロテアソーム阻害剤が基質認識部位に直接作用するのに対し、このペプチドは全く異なるメカニズムで活性制御することから、新しいタイプのプロテアソームを標的とした創薬の手がかりになることが期待される。
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Research Products
(4 results)