2023 Fiscal Year Annual Research Report
核酸立体構造の選択的修飾による遺伝子調節技術の開発
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19K05743
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
寺 正行 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10643512)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グアニン四重鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
G4は、主に平行、反平行、ハイブリッドの3つのトポロジーを形成し、G4結合タンパク質(G4BP)はこれらを厳密に認識する。例えば酵母のRif1タンパク質は平行型やハイブリッド型のG4と相互作用するが、反平行型とは相互作用しない。この特定の認識能力は、アプタマー技術にも応用されており、トロンビン結合アプタマー(TBA)がその一例である。 今年度は、G4リガンドとして一連のポリオキサゾールを開発し、その中の直鎖連続ヘキサオキサゾールシリーズの一つ(6LCO)が特定のトポロジーを誘導することを見出した。6LCOは、TBAの反平行トポロジーを平行トポロジーに変更し、トロンビンとの結合を阻害することで、トロンビンの酵素機能を制御することが可能であることを示した。 まず、6LCOによるTBA-G4のトポロジー変更がトロンビンとの結合活性に及ぼす影響を調べるため、ドットブロット実験を行った。蛍光標識されたTBA(Flu-TBA)をニトロセルロース膜に固定化したトロンビンに対して適用し、6LCOの濃度を変えながらトロンビンとの結合活性の変化を評価した。その結果、6LCOの濃度が増加するにつれて蛍光の強度が減少し、6LCOがトロンビンとの結合を効果的に阻害していることが示された。 次に、6LCOによるトロンビン触媒によるフィブリン形成反応の制御を評価した。比濁測定を用いて、フィブリン形成の速度がTBA単独、TBAと6LCOの併用、6LCO単独でどのように変化するかを測定した。6LCOを添加した場合、TBAによるトロンビンの阻害が解除され、フィブリン形成速度が顕著に向上することが確認された。 これらの結果から、6LCOはTBAのトポロジーを変更し、トロンビンとの結合を制御することによって、トロンビンの活性を調節できる有効なツールであることが示された。
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