2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of covalent fluorescent probes for cancer imaging.
Project/Area Number |
19K05747
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
どど 孝介 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (20415243)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アフィニティーラベリング / 蛍光イメージング / がん / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はリシン残基と選択的に反応するO-nitrobenzoxadiazole(O-NBD)を標識官能基として用い、生物活性化合物の結合蛋白質を蛍光標識する手法を開発している。O-NBDはコンパクトであるため元の化合物の生物活性に影響を与えず、さらにそれ自身は蛍光を持たないが、リシンと反応してN-NBDになると蛍光を発するというTurn-ON型の蛍光を持つ。本手法では蛍光標識が蛋白質に共有結合を介して導入されるため、サンプルを固定化しても蛍光標識が拡散することはなく、その蛍光が損なわれることはない。そこで本研究ではがん細胞に多く発現する蛋白質に着目し、そのリガンドにO-NBDユニットを導入することで、がん細胞特異的に共有結合を介してNBD標識を導入することで、固定処理にも対応できるがん蛍光イメージングプローブの開発を目指す。 本年度は昨年度に引き続き、がん細胞の成長に重要なビタミン類や補酵素などの受容体リガンドに対して各種リンカーとO-NBDを導入したプローブを合成し、その機能を評価した。その結果、残念ながら報告されているX線結晶構造解析を元にして設計したプローブに関しては標的蛋白質の蛍光標識は起きておらず、プローブの再設計が必要であることがわかった。さらに今年度は顕著な抗がん活性を持つ天然物Rocaglamide A(RocA)に関してO-NBDプローブを開発し、その蛍光標識プローブとしての機能を調べた。RocAは蛋白質翻訳開始因子を形成する蛋白質の一つeIF4Aを標的とすることが報告されているが、開発されたO-NBDプローブが蛍光標識する蛋白質の解析を進めたところ、eIF4Aに加えて新たな標的蛋白質DDX-3が同定された。eIF4AおよびDDX-3のがん細胞での発現量を調べたところ、eIF4Aだけではなく2つの蛋白質の発現量がその抗がん活性に重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は最初に選択したビタミン類・補酵素などの受容体リガンドに関しては、狙いの蛋白質の蛍光標識はできなかった。しかしながら、新たに標的として取り上げた天然物Rocaglamide Aに関して、新しい標的蛋白質を同定するという予想以上の成果を上げることができたため、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最初に標的とした受容体に関しては、今後プローブの再設計を経て狙いの蛋白質を標識できるO-NBDプローブの開発を目指す。また、Roc Aに関してはすでに標的蛋白質を蛍光標識することに成功しているため、今後蛍光イメージングに利用できるかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ対応により実験できる時間が十分に確保できなかったことから論文作成に注力することとし、来年度に消耗品の予算を繰り越して来年度に集中して研究を進めることにした。また、蛍光イメージングなどに用いる機器類の不調などもいくつか見られたことから、必要に応じて修理費にも本予算を充てることを計画する
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